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2007年2月26日 (月)

個人社会は積極的刑事介入を生み出すのか

MOZANさんのブログ記事より。

要約すると、アメリカにおける「暴力」の定義は狭い。相手が妻だろうが恋人だろうが手を上げると「ドメスティック・バイオレンス」という罪で逮捕される、だから気をつけろ。ということ。
MOZANBLOG: 「家庭内暴力」の定義,February 24, 2007 

恥ずかしながら、私はアメリカにおいては、民事訴訟の役割が大きく、刑事介入は日本より謙抑的になされる、という印象を抱いていました。大間違いでしたね。日本以上に必罰・干渉主義であるようです。

私の勘違いは、アメリカの民事訴訟では懲罰的損害賠償が認められていること、刑事訴訟において正当防衛が広く認められる傾向にあること、司法取引が認められていること、などからの類推だったのですが。やはり現実はそう単純なものではないですね。

日本においても近年、警察の刑事介入が積極的になされるようになっている、という印象があるのですが、こちらはどうでしょうね。

刑法犯の認知件数は,平成8年(246万5,503件)以降,毎年戦後最多を更新し,12年に300万件を超え,14 年には戦後最多の369万3,928件を記録した。翌15年に減少に転じ,16年は342万7,606件(前年比21万8,647件(6.0%)減)となったが,依然として高水準にある。
平成17年版 犯罪白書,法務省

犯罪の認知件数は増加しているようです。

日本の社会は、共同体をベースにした社会から核家族化を得て、個人をベースにした社会へと移り変わって来ているように思います。共同体による紛争解決を失った、個人が基本となる社会では、公的な制度での紛争解決に委ねざるを得ず、その結果、民事訴訟も増加し、同時に刑事介入も増える、ということなのですかね。

※認知件数:警察が犯罪について、被害の届出等によりその発生を確認した件数
(警視庁ホームページより)

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2007年2月24日 (土)

医療崩壊マインドマップ

医療崩壊のマインドマップ を作成してみました。

以下の画像をクリックすると、Flashで拡大表示します。

medical_breakdown_mm

FreeMindというツールで作成しています。以下のサイトを参考にさせていただきました。

FreeMind活用クラブ - マインドマップをフリーソフトで

Flashは同サイトで紹介されている、freeMindFlashBrowserというツールを使用しています。

[2007/02/25追記]

マインドマップの内容を追加しました。

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2007年2月22日 (木)

業務プロセスの重量化

2008年度から適用が始まる、内部統制法(日本版SOX法)への対応が本格化しているようです。今号の日経コンピュータでも特集されてましたね。

日本版SOX法対策のためERPをフルカスタマイズする不条理

ISO9000、ISO14000、個人情報保護法、内部統制法と業務プロセスに係わる書類仕事は増加の一途を辿ってるように思います。業務プロセスを変更すれば、こうしたプロセスに係る書類仕事、さらに書類仕事をサポートするITシステムも見直すことになりますので、業務プロセスに相当の重荷を載せている感がありますね。

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APジェネレータ

業務で使用する、画面・帳票の内容から、業務アプリケーションを自動生成する、というアイデアは以前から存在したと思います。

APジェネレータが導くシステム開発の新パラダイム - @IT情報マネジメント

最近、この分野が再び注目を集めるようになってきているみたいですね。

実際のところ、業務アプリケーションというのは、画面・帳票・DB・オブジェクト間のマッピングが大部分を占めますし、ロジックも定型といえるものが多いですから、自動生成という考えは当然出てくるものと考えます。私も常々、業務アプリケーション開発のコーディング作業のうち、8割くらいは自動化可能ではないか、と思っていました。

業務アプリケーションの自動化技術を現実に使用する場合、以下の点が気になるところです。

1. 自動化ソフトウエアのライセンス料が高額でないか

2. 自動生成されたコードのパフォーマンスは実用に耐えるか

3. 手で書いたコードと自動生成コードがリンク可能か

4. 検証・テストが容易に行なえるか

5. 既存システムのプラットホーム(特にRDBMS)と統合可能か

こうした点をうまくクリアできるのであれば、普及しそうな気がします。今のところ、この手の製品の最大のネックは、ライセンス料ですかね。大抵は恐ろしく高額ですから。

この分野の製品がいくつか販売されるようになり、ユーザーベースが拡大していけば、解決されていきそうですけどね。鶏と卵の関係ですが。

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2007年2月21日 (水)

コミック・ベースド・ストーリーボード

漫画を使ってシステム利用のシナリオを説明しよう、という話です。

最近知ったのだけど, sun.com のデザイン・チームは検討過程におけるコミュニケーション手法のひとつとして 「コミック・ベースド・ストーリーボード」 というのを使ってるんだそうだ. サービス利用の一連の流れをマンガっぽくみせることで, デザインの専門家ではない実際の利用者からの意見を得やすくするらしい.
sun.com 謹製コミック・テンプレート - tkudo's weblog about identity management,Feb 14, 2007

StarOfficeまたはOpenOffice用のテンプレートがあるみたいですね。

 Design Comics: An 0.9 Version You Can Use

バレエの「くるみ割り人形」のチケットを、オンラインで買おうとして...という例が載っていますね。

もっと長いもので、”customer ratings system”の例が以下にあります。

Examples of Comics in Designing Customer Experiences

面白いですけど、職場によっては、ここまでくだけると怒られるかもしれませんね。

「これはポンチ絵(漫画絵)なのですけど...」
「マンガとは何だ!!」

どこかでこういう話があったような気がします。

まあ、大抵の人は喜んでくれると思いますけどね^^)

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2007年2月19日 (月)

体系化された知識 vs 断片的知識

以下のブログ記事を読んでの感想です。

仙石浩明の日記: 組織を強くする技術の伝え方
仙石浩明の日記: プログラマを目指すのに適した時代、適していない時代 

応用の利く体系化された、つまり理論的な知識と、断片的な、いわゆるHow-Toな知識、どちらがより有用か、という話があるようで、まあそれは記事の本旨ではないようですけど、後者の方が有用だとする人がいることに、少々驚きました。考えるまでもなく、前者のように思っていましたが。

様々な「データベース連動Webサイト」コンサルティング会社が過去2年間に急成長し、データベース連動Webサイトを作るための14ステップをアマチュアたちに教えて彼らの同類を増やした(ここにselect文があるね、さあ、Webサイトを作って)。しかし今やドットコムは崩壊し、突然ハイエンドGUIプログラミングとC++のスキルと真のコンピュータサイエンスが要求されるようになり、武器庫にselect文しかないちびっ子は、急すぎるラーニング・カーブに直面して、キャッチアップすることができない。
「ビッグマック 対 裸のシェフ」, Joel Spolsky / 青木靖 訳,2001/1/18

...Javaは大体において優れたプログラマと凡庸なプログラマを見分けるのに使えるほど難しい言語ではないということだ。Javaは仕事で使うのには良い言語かもしれないが、それは今日の話題ではない。Javaが十分に難しくないというのはバグではなく、機能であるわけだが、それには1つ問題がある。

私のささやかな経験から言わせてもらうと、伝統的に大学のコンピュータサイエンスのカリキュラムで教えられているもので、多くの人がうまく理解できないものが2つあった: ポインタと再帰だ。
...
...コンピュータサイエンス学科のドロップアウト率の数字をいろいろ見たが、それは通常40%から70%の間だ。大学はこれを損失だと考えているようだが、私はこのふるい分けを不可欠なものだと思っている。彼らがプログラミングのキャリアで成功したり幸福になることはないだろうからだ。
「Javaスクールの危険」,Joel Spolsky / 青木靖 訳,2005/12/29

How-Toな知識というのは、誰かがお膳立てをしてくれて、敷かれたレールの上で仕事をする分には、それで十分なのですけどね。道なき道、障害物だらけの道で仕事をする場合には、全く不十分だと思います。いずれは壁に突き当たることになるでしょう。それは、自分がお膳立てをする側に回るときですかね。まあ、私もあまり他人のことを言えるような立場ではありませんが。

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サプライサイド屋

いわゆるニセ科学というか、ニセ経済学というものなのでしょうか。

サプライサイド屋というのは経済「学」の一派。「学」とカッコつきなのは、こいつらがあんましまっとうな「学」じゃなくて、本物の経済学に入れるのがちょっとためらわれるから。基本的な考えは、「稼いだ金は使うしかない、だから需要がいっせいに停滞すること(つまり不況)はありえない(わおぅ!!)、だからつくる側(つまりサプライサイド)にはバンバンつくらせよう」というもの。で、そのありえないはずの不況が現実に起きているのはなぜ、ときかれると、「それは政府が余計な規制をかけて、サプライサイドのクビを絞めているからだ」という答えとなる。理論的な裏付けは皆無。クルーグマンはもちろんこいつらを徹底的にバカにしていて、...この一派を「イカレポンチ」と呼んで嘲笑している。

「クルーグマン教授の経済入門」,ポール・クルーグマン著,山形浩生訳,日本経済新聞社,2003,p.21訳注2より

しかし、今の日本政府は明らかにこの「サプライサイド屋」の思想で政策立案をしていますよね。「水からの伝言」や納豆ダイエットなどよりも、よっぽど深刻ではないでしょうかね。おかげで日本の社会保障制度は風前の灯となってしまっていますけど。

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クルーグマン教授の経済入門 Book クルーグマン教授の経済入門

著者:ポール クルーグマン
販売元:日本経済新聞社
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2007年2月18日 (日)

我々は福島事件で逮捕された産婦人科医師の無罪を信じ支援します

2006年2月18日、福島県立大野病院の産婦人科医師が、業務上過失致死と医師法(異状死体の届け出義務)違反で逮捕され、現在公判中となっています。この事件は、医療関係者に非常な衝撃を与え、医療崩壊の象徴的な事件とされています。

本件は、癒着胎盤という、術前診断がきわめて難しく、治療の難度が最も高く、対応がきわめて困難な事例であります。
 起訴状によれば、本件における手術中、児娩出後に用手的に胎盤の剥離を試みて胎盤が子宮に癒着していることを術者である被告人が認識した時に、「(被告人には)直ちに胎盤の剥離を中止して子宮摘出術等に移行し、胎盤を子宮から剥離することに伴う大量出血による同女の生命の危険を未然に回避すべき業務上の注意義務があるのに、(被告人は)これを怠り、直ちに胎盤の剥離を中止して子宮摘出術等に移行せず、同日午後2時50分ころまでの間、クーパーを用いて漫然と胎盤の癒着部分を剥離した過失により、」とあり、被告人が直ちに胎盤の剥離を中止して子宮摘出術等に移行しなかったことと、胎盤の癒着部分の剥離に用いた手段に過失がある、とされています。
 癒着胎盤の予見のきわめて困難である本件において、癒着胎盤であることの診断は、胎盤を剥離せしめる操作をある程度進めた時点で初めて可能となるものであります。したがって、結果的には癒着胎盤であった本例において、胎盤を剥離せしめる操作を中止して子宮摘出術を行うべきか、胎盤の剥離除去を完遂せしめた後に子宮摘出術の要否を判断するのが適切かについては、“個々の症例の状況”に応じた現場での判断をする外なく、それはひとえに当該医師の裁量に属する事項であります。
 また、本件のような帝王切開例における胎盤の癒着部を剥離せしめる手段としては、用手的に行うことだけが適切ということはなく、クーパーをはじめ器械を用いることにも相当の必然性があり、この手技の選択も当該医師の状況に応じた裁量に委ねられなければ、治療手段としての手術は成立し得ません。

本件の転帰に関してはたいへん心を痛め、真摯に受け止めておりますが、外科的治療が施行された後に、結果の重大性のみに基づいて刑事責任が問われることになるのであれば、今後、外科系医療の場において必要な外科的治療を回避する動きを招来しかねないことを強く危惧するものであります。

県立大野病院事件に対する考え,社団法人 日本産科婦人科学会,平成18年5月17日

正直、非医療関係者たる私が、公判中の事件に対し、判断をするのは、なかなか辛いものがあります。しかしながら、病と死は自然現象であり、人として生きる限り避けられないものだと思います。患者および医療関係者は運命に抗しようと努力するものの、不幸な結果となることもあるだろうと思います。本件に関して、医師の方は最善を尽くされたと信じます。

なお、本エントリは、「新小児科医のつぶやき」ブログの「2007-02-07 2.18企画」 の趣旨に賛同するものです。

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「法令遵守」が日本を滅ぼす Book 「法令遵守」が日本を滅ぼす

著者:郷原 信郎
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

元検事である著者は、個々の法令を遵守することに固執するのではなく、法令の背後にある社会的要請に応えることがコンプライアンスである、と述べています。また、複雑化している社会実態をみることなく、個別の法令をただ「遵守」しようとする姿勢に対し、疑問を呈しています。

著者の言に従えば、専門家が自らの良心に従い、誠実に職務を行なっても、逮捕されてしまうという世の中は、「法治国家」とはいえないでしょうね。

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2007年2月15日 (木)

再び、サービス分野の生産性向上

東京日和@元勤務医の日々:[ドウニモトマラナイ]診療報酬削減,SkyTeam,2007.02.15
に気になる記述が...

「IT化(電子カルテ化、レセプトオンライン化など)」が「高コスト是正」になりますかねえ。

ネットを漁って、ソースらしきものを見つけました。

第2章 成長力・競争力を強化する取組
...
1.経済成長戦略大綱の推進による成長力の強化
...
(2)生産性の向上(ITとサービス産業の革新)
①ITによる生産性向上と市場創出
・ 「IT新改革戦略」、「重点計画-2006」(仮称)を着実に実施する。とりわけ、5年以内の世界トップクラスの「IT経営」の実現に向け、産学官による「IT生産性向上運動」、「IT経営力指標」の策定・普及、IT人材育成等に取り組む。
...
②サービス産業の革新
・ 「日本サービス品質賞」の創設等「サービス産業生産性向上運動」を展開する。サービス6分野15の2015 年までの70 兆円の市場規模拡大を目指し、地域ヘルスケア提供体制の重点化等質の高い効率的なサービスの実現策等を重点的に講ずる。

...

第3章 財政健全化への取組
...
2.「簡素で効率的な政府」への取組
...
(医療)
...
・ 医療サービスの標準化、レセプト完全オンライン化等総合的なIT化の推進、患者特性に応じた包括化・定額払いの拡大等新たな診療報酬体系の開発、保険者機能の強化、終末期医療の在り方の検討など、医療サービスの質の向上と効率化を推進する。

(PDF)「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」,p.8-9,p.25-26,首相官邸:経済財政諮問会議,平成18 年7月7日

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Valentine's Day

Googleロゴの一部がチョコレートになっているのを見て、ちょっと不思議に思い、思わずクリックしてしまいました。

Thanks to a concentrated marketing effort, Valentine's Day has emerged in Japan and Korea as a day on which women, and less commonly men, give candy, chocolate or flowers to people they like. This has become an obligation for many women. Those who work in offices end up giving chocolates to all their male co-workers, sometimes at significant personal expense. This chocolate is known as giri-choko (義理チョコ), in Japan, from the words giri ("obligation") and choko, a common short version of chokor?to (チョコレート), meaning "chocolate". This contrasts with honmei-choko, which is given to a person someone loves or has a strong relationship with. Friends, especially girls, exchange chocolate that is referred to as tomo-choko (友チョコ); tomo means "friend" in Japanese.

Wikipedia contributors, "Valentine's Day," Wikipedia, The Free Encyclopedia, (accessed February 14, 2007).

うーん。

[2007/02/15 追記]

話題になっていますね。

Official Google Blog: Strawberries are red, stems are green...,2/14/2007

”L”が抜けていることには全く気がつきませんでした。orz

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できること、できないことを明確にすること

医療危機について、いつも勉強させていただいている、「新小児科医のつぶやき」ブログのエントリ、「2007-02-13 豊岡撃沈と効率化」 のコメント欄で、医師の病院勤務の実態が赤裸々にコメントされています。読んでいて、本気で泣けてきました。

相変わらず、営業のノルマは「受注額」のみだった。「なんでもできます営業」が嘘ばかりついて。コントラクトがなにかも知らない営業が契約書を書いた。だって売上げや利益は関係ないもんね。

大型受注が連続し、経営者は狂気した。
そして1年後、赤字プロジェクトがゆっくりアタマをもたげ始めた。
そして2年後、巨額の受注残は終戦直後の軍票となった。
さらに3年後、不幸なできごとが責任感の強い社員の身に、におきた

熱血!第三営業部-油野達也の「達」観主義-「二つの本音」の間にあるもの(最終エピソード3),2006.05.27

以前から警鐘を鳴らしていたことが現実となってきた。このままではIT業界に優秀な新卒人材が入ってこなくなるだろう、ということで東葛人さんからのトラバを。「35才定年説」から「デスマーチ(死の行進)」なんて基本という劣悪な労働環境までが皮肉にもネット媒体というITを通じて学生に露見し始めたのだ。そしてその原因は一部の「労働省管轄」と呼ばれる派遣型ソフトハウスが作り出したもの。儲け重視で社員の健康や環境など一切を気にしない。法の目をくぐり二重派遣三重派遣、残業カットはあたりまえ。俺も若いときは我慢したんだ、お前も我慢しろ、なんだまだ文句言うか?嫌なら辞めろ、倒れたら辞めろ。お前らの代わりは来年の春に入ってくるから。どうせ新卒に毛が生えたくらいの仕事しかできないくせに。

あーっ!もう。書いてたら涙がでてきた。

熱血!第三営業部-油野達也の「達」観主義-IT業界の人材不足を憂う,2005.11.22

引用ばかりですみませんが、我がITシステム業界のかつての状況・現在の状況を見事に綴った文章であると思います。

できること、できないことを明確にし、できないことはやらない、というのはマネジメントの基本だと思うのです。が、今の日本の経営者(マネジメント)は、これができないんですよね。

そんな日本人に「アメリカでは優秀な人にはちゃんとしたインセンティブを与えないとだめですよ」と言うと、必ず返ってくるのが「アメリカ人は欲張りだ」という言葉である。それを欲張りと思おうと思うまいとかまわないのだが、少なくともそれがここでは常識だ、ということを理解した上でなければアメリカで優秀な人は雇えないし、会社の経営はできない。もちろん、「そんな連中を雇うつもりはない。会社と従業員は運命共同体だ!」という経営方針も日本企業としては許されるのだろうが、そんな考え方ならアメリカの会社など決して買収してはいけない。

Life is beautiful: なぜ日本企業による米国企業の買収がしばしば失敗に終わるのか,2007.02.14

今では日本企業でもそんな経営方針は成り立たなくなりつつあるように思います。「会社と従業員は運命共同体」として、従業員に無理・無茶を強いることができたのは、終身雇用という制度が存在していたからでしょう。終身雇用の下では、従業員には会社と運命を共にする他に選択肢はなかった訳でして。しかし、若い世代を中心に、終身雇用というものは、意識の上から急速に消え去っていっているように思います。

医師の方々の場合は、医局制度が終身雇用制度と同じ役割を果たしていたのですかね。

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2007年2月12日 (月)

「経済論戦は甦る」

経済論戦は甦る Book 経済論戦は甦る

著者:竹森 俊平
販売元:日本経済新聞出版社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

2002年に単行本として東洋経済新報社から出版されたものが、今年、日経ビジネス人文庫の一冊として文庫化されたみたいです。私は初めて読んだのですけど、現在の日本の置かれた状況を分析したものとして、面白く読めました。

不況に対して、著者は以下の2つの考え方があることを提示します。

1. 清算主義。積極財政、金融緩和などで不況を緩和させず、企業・雇用・資産を不況のなすがままに破壊し、経済から非効率なものを一掃する。その結果、効率的なものが市場に参入しやすくなり、より効率的な経済が生まれる。

2. リフレ主義。不況は経済にとって極めて危険なもので、放置すれば経済は壊滅する。積極的な財政金融政策によってデフレを押しとどめ、政府による富の移転を図ることで経済を正常な状態に復さねばならない。

著者は、1930年代の世界恐慌の際、上記2つの考え方の経済学者によって論戦があった歴史的事実をひき、今日の日本における論戦を分析します。本書前半で著者は、世界恐慌の経験から、清算主義は過ちであり、リフレ主義が有効であるとの立場に立ちます。後半はリフレ主義の立場から、銀行の不良債権処理について、分析されています。

個人的に印象深いのは、小泉内閣への国民の熱狂的支持に関する、以下の一節でした(p.14)。

ドイツ語に「シャーデン・フロイデ」という言葉がある。モノを壊し、傷つけることによる一種のサディスティックな喜びを指す。当時、国民が心に抱いていたのは、これであったかもしれない。自民党のたくらんでいた総裁選出の「出来レース」をぶち壊したあとは、バブル期に地上げをしてボロ儲けをねらい、いまは公共事業にすがってなんとか生き延びようとしているゼネコンを潰す-。「破壊」が、つぎに「創造」につながるというはっきりとしたビジョンがあるわけではなく、ひたすら「破壊」を続けることでの憂さ晴らしである。

巻末の参考文献を見ていると、「医療・保育などのサービス改善」というタイトルが。清算主義は必ずこれを持ち出すのですかねえ。この本の著者はリフレ主義に立つためか、清算主義に関しては、あまり詳しく述べられていなかったのですけど、どんなことを言っているのか、一度読んでみようと思います。

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2007年2月10日 (土)

不二家の不祥事は受発注システムの不備が一因?

詳細が不明なので、内容についてはコメントしようがないです。

不二家の受発注システムには、受発注の最新状況や原料の消費期限などを厳重に管理していなかった可能性があるという。改革委員会は、原料の使用状況を厳重に管理・チェックするシステムを整備すべきと不二家に伝えたもよう。

不二家の不祥事は受発注システムの不備が一因か、改革委員会が指摘,ITpro,日経BP社,2007/02/08

企業がITシステムに業務を依存するようになって久しいですから、ITシステムが不祥事の一因となることもあり得るでしょうね。ITシステムの導入は経営戦略の一環であり、経営者のコミットが必要、ということが実感される一事です。

ベンダーはユーザーに対して,IT導入は経営そのものの問題であることをトコトン主張すべきだ。併せて,必要な業務改革を断行すること,IT導入成功のためには常にユーザー主導でいくこと,初期段階でユーザーとベンダーの役割を明確にすることなども主張し,啓蒙する。そして,ユーザーの意識を変えなければならない。

ダメシステムとその甦生に関わる人々(11)ベンダーはシステム丸投げを受け入れるな,ITpro,日経BP社,2007/02/09

私達業者サイドも場合によっては責任を問われかねない、ということを自覚する必要がありますね。

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2007年2月 8日 (木)

サービス分野の生産性向上

日経新聞の人気コラム「大磯小磯」からの引用です。

...
...今後、労働力人口減少下で成長率を維持していくためには、生産性の引き上げが不可欠である。その鍵となるのが、製造業に比較して生産性が劣るサービス分野や非製造業の活性化であり、官業自体も含むいわゆる官製市場の改革が必要である。ただし、効率性の追求は、人減らしやサービスの質の低下に結びつくという懸念を生む。
 その一方で国民生活の観点からみると、消費者のニーズがいまだ十分に満たされず、質の向上も求められているのがサービス分野である。医療・介護や保育サービスはその典型である。子を持つ母親のパートの稼ぎが、ほとんど保育費用に消えてしまうような保育サービスでは、生活の向上は望むべくもない。...
...
 成長の果実が国民に還元されるからこそ成長戦略は支持される。求められる戦略は、サービス分野や非製造業を活性化することで、供給の拡大と質の向上を通じて消費者ニーズを満たすことである。同分野の市場拡大と、そこで働く人々の所得増加による消費拡大の好循環が始まれば、拡大均衡のもとで生産性の引き上げも容易になる。
...
(追分)

「大磯小磯-規制改革は成長戦略の柱」,日本経済新聞,2007年2月7日朝刊19面

さて、サービス分野の効率化の方法としては、今のところ、以下の2種類があるように思います。

  1. マクドナルド方式。仕事は人が行なうが、徹底的なマニュアル化により機械的に作業できるようにする。フォーディズムのサービス分野への適用。
  2. Google方式。IT技術を用いて、サービスを文字どおりに完全に機械化する。サービス業の製造業化、あるいは装置産業化。

サービス分野でのイノベーションというのは、機械化によってもたらされるものだと思います。機械化によって、少ない人手で大量の需要をさばくようにするのが本質ではないでしょうか。

このコラムにある考え方は、ヘンリー・フォードの名前とともに有名になった、フォーディズムという生産方式であるように思われます。「求められる戦略は、サービス分野や非製造業を活性化すること」として、「供給の拡大と質の向上を通じて消費者ニーズを満たすこと」、「同分野の市場拡大と、そこで働く人々の所得増加による消費拡大の好循環」、「拡大均衡のもとで生産性の引き上げ」などというあたりから、それが推測されます。

「医療・介護や保育サービス」は、上に挙げたいずれの方法が適用できるでしょうか。いずれも、完全機械化など無理のある分野ですし、また、そうしたものを消費者が望むとも思えません。規制緩和・自由化によって質の向上・価格低下をもたらすには、こうしたイノベーションが必要ですが、機械化の不可能な分野にそれを期待するのは難があるように思います。アメリカ医療で起きている医療費の高騰は、こうしたことを証明しているように思えます。

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2007年2月 5日 (月)

トンデモない米国医療システム(続き)

渡辺千賀氏のブログ・エントリ「On Off and Beyond: トンデモない米国医療システムからイノベーションが生まれるのか」 コメント欄で教えていただいた資料で、米国での医療事故訴訟が医療医療に与える影響について分析したものです。

...
3. Health Care Costs are Increased

The medical litigation system attacks the wallet of every American. Money spent on malpractice premiums (and the litigation costs that largely determine those premiums) raises health care costs. A GAO study in 1994 estimated that malpractice premiums comprise 1% of total health care expenditures; given current spending, this amounts to $14 billion dollars.60

The litigation system also imposes large indirect costs on the health care system. Defensive medicine that is caused by unlimited and unpredictable liability awards not only increases patients' risk but it also adds costs. A leading study estimates that reasonable limits on non-economic damages, such as California has had in effect for 25 years, can reduce health care costs by 5-9% without "substantial effects on mortality or medical complications."61 With national health care expenditures currently estimated to be $1.4 trillion, if this reform were adopted nationally, it would save $70-126 billion in health care costs per year.
...

"Addressing the New Health Care Crisis: Reforming the Medical Litigation System to Improve the Quality of Health Care",U.S. Department of Health and Human Services,Office of the Assistant Secretary for Planning and Evaluation,March 3, 2003

これは「市場原理が医療を亡ぼす-アメリカの失敗」(李 啓充,医学書院,2004)の以下の記述と一致しますね(p.168)。

ディフェンシブ・メディシンによる医療費の「無駄づかい」

ディフェンシブ・メディシンによる「無駄な」医療がどれだけ医療費を押し上げているかについてもいくつかの研究があるが、医療過誤の賠償金に上限を設けるなどの法的対策を講じていない州では、そのような法的措置を講じている州と比較して、医療費総額の五-一〇%が余計にディフェンシブ・メディシンに消費されているのではないかと推計されている。しかし、医療過誤危機に対する法的対策を講じている州でディフェンシブ・メディシンがゼロになるなるということはありえず、ディフェンシブ・メディシンによる医療費の「無駄づかい」は想像もできないほど巨額なものであると考えてよいだろう。

医療事故訴訟の間接的な影響、ディフェンシブ・メディシン(防衛医療)のコストを推計することは非常に難しいでしょうから、何ともいい難い、というところなのでしょうか。

”「改革」のための医療経済学”(兪 炳匡,メディカ出版,2006)にあります、「米国の総医療費上昇率(1940~90年)の要因を定量化・数値化したハーバード大学ニューハウス(Newhouse)教授の研究」に「筆者の仮定と計算を加えた」という推計を紹介したいと思います(p.121)。

米国における医療費上昇の5つの要因と寄与率(1940~90年)

  1. 人口の高齢化 4%
  2. 医療保険制度の普及 17%
  3. 国民所得の上昇 7%
  4. 医師供給数増加 ほぼゼロ
  5. 医療分野と他の産業分野との生産性上昇格差 12%
  6. その他の要因 60%

「その他の要因」が一番大きく、このうち最大の要因が「医療技術の進歩」ではないかと推測されています(p.124-126)。医療事故訴訟も「その他の要因」ですかね。

医療保険については、「医療保険制度の普及」とあるように、医療保険制度が普及した結果、医療需要が増加したことをもって寄与率を出しており、医療保険制度の効率性にまで踏み込んだものではないようです。これも「その他の要因」になるのかな。

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市場原理が医療を亡ぼす―アメリカの失敗 Book 市場原理が医療を亡ぼす―アメリカの失敗

著者:李 啓充
販売元:医学書院
Amazon.co.jpで詳細を確認する

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2007年2月 4日 (日)

トンデモない米国医療システム

医療崩壊という言葉は、いくつかの意味で語られているように思います。ひとつは、現在の公立病院を中核とした医療体制の崩壊であり、もうひとつは、国民皆保険制度という医療制度の崩壊ですね。両者は密接に関係していますが、現に進行しているのが前者で、医療費抑制・混合診療解禁がもたらすものが後者でしょうか。後者の目指すところは米国の医療制度だと思われます。

さて、世界一高いとされている米国の医療費ですが。

米国の医療は崩壊寸前である。日本の年金より危機的状況。医療費用は2004年の1年間だけで総額1400億ドル増加した。実に15兆円超だ。一体全体どうしたら、1年間で15兆円も余計に使うことができるのかと頭をひねるばかり。

この根本的問題は「アメリカの医療保険の中途半端な半官半民体制」にある。

アメリカには公的保険と民間保険が混在する。「貧困層」「65歳以上」は公的保険の対象。それ以外の人は民間の健康保険を購入する。民間の保険の選択肢は全国に1000以上もある上、個々の病院や医師は、10を超す保険会社と契約していることもあり、保険求償処理のための事務コストは非常に高い。「救急外来で1時間診療したら、1時間の事務処理作業が発生する」と試算されている。日本と違って事務手続きにとんでもない間違いが起こるアメリカゆえ、「間違い訂正コスト」もバカにならない。

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医療費負担は企業の競争力にも影響が出ている。週に20時間以上働いた人に医療保険を提供するスターバックスでは、2005年には医療保険費用がコーヒー豆代を凌駕した。退職した社員の医療保険も負担しているGMでは、車1台作るコストに、医療保険費用が1500ドル分が上乗せされる。

「なんて絶望的医療システムだろう」と常々思ってきたのだが、そんなアメリカで最近誕生しているのが、異業種の医療サービス参入による「ミニクリニック」だ。ウォルマート、ターゲットといった大手小売チェーンや、ウォルグリーンなどのドラッグストアチェーンが、次々に店内に簡易クリニックを設置するトライアルを始めているのである。従来型の病院では一回あたり110ドルかかった診療を、40-60ドル程度とほぼ半額で提供。行うのはちょっとした怪我や風邪、予防接種といった簡単な医療行為のみで、少しでも問題がある患者は一般病院に行くように指示する。予約は必要なく、待ち時間があっても、併設店舗内の買い物で時間をつぶすこともできる。保険をもっていればその適用も可能だし、なければキャッシュで支払うこともできる。

「On Off and Beyond: トンデモない米国医療システムからイノベーションが生まれるのか」,渡辺千賀,February 02, 2007

”「改革」のための医療経済学”(兪 炳匡,メディカ出版,2006)によれば、医療費の大部分を占めるのは、いわゆる急性期医療(緊急・重篤の医療)費のようです。これは米国・日本を含む、先進国の医療費で共通の特徴のようですね(p.174)。医療費高騰の原因はこの急性期医療の部分にあると思われ、「ミニクリニック」で軽症の治療・予防を行なっても、医療費抑制にはほとんど繋がらないように思います。

医療保険については、多数の保険が乱立することによる事務経費の増加もありますが、同時にリスクプール(保険加入者数)が細分化されて、保険の目的たるリスク分散の効率が低下することも大きいと思います。これが、国民皆保険がもっとも望ましい形であるとされる所以のようです(p.202)。

米国の医療保険制度が今のままでいいと思っている米国人など一人もいないと言ってよい。GDPの15%にも相当する,世界一高い医療費を払いながら,無保険者が4500万人(2003年,米国国勢調査庁調べ)と,国民の7人に1人にも達する現行制度を容認するなど,それこそ正気の沙汰ではないからだ。全米科学アカデミーによると,医療へのアクセスが遅れるなどで,「無保険」であるがゆえに,毎年1万8000人の国民が命を落としているとされ,事態の深刻さは尋常ではない。

医学書院/週刊医学界新聞 【〔連載〕続・アメリカ医療の光と影(63)(李啓充)】 ( 第2640号 2005年7月4日)

米国でも民主党は皆保険導入を目指しているようですが、大手病院チェーン・民間保険会社が必死に抵抗するのでしょうね。

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「改革」のための医療経済学 Book 「改革」のための医療経済学

著者:兪 炳匡
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2007年2月 2日 (金)

順を追って整理しましょう

システム開発では、現状分析のフェーズは疎かになりがちです。顧客も業者も頭の中が「次のシステム」で占められてしまい、「今どうなっているのか」という点が見過ごされてしまうのですよね。また、顧客にとっては、要望を言う方が現状を説明するより楽しく、業者側も現状を調査するより新しいシステムを検討する方が楽しい、というのがありそうです。

 今、小生のビジネスで、新しいPJが複数立ち上がろうとしている。多くの場合、PJの最初に現状調査・現状分析を行うことが多い。これは、これからコンサルティングやサポートを行っていく中で、クライアントの内外の状況をきちんと理解し、共有していくことが非常重要だからだ。

 特に、中堅企業以下、もしくは、ベンチャー企業では、現状を文書にしている場合は少ない。成長が激しかったり、そもそも業者任せだったりすると情報が古かったり、存在していないことがほとんだ。これでは、外部のメンバーだけではなくクライアント様メンバーでさえも正しい決断ができないのだ。

 だからこそ、時間と費用はかかるかもしれないが、現状調査・分析フェーズが必要で、重要なフェーズになってくる。

「現状調査・分析フェーズとは - ITコンシェルジュの Try ! & Error ?」,ITmedia オルタナティブ・ブログ,川上 暁生,2007年02月02日

現状分析を疎かにしますと、後の設計・開発・テストのフェーズで、仕様の漏れが見つかったりして、手戻りが多発することになりますね。結果、プロジェクトが危機に陥ります。

システム分析のフェーズとして、以下のフェーズ分けが原則としてあると思います。

現物理モデル->現論理モデル->新論理モデル->新物理モデル

この話をすると、大抵は「なんでこんな面倒なことを」という反応ですね。顧客も業者も。しかし、フェーズ分けで検討内容に縛りをかけることは、おおいに意味がありまして、それは冒頭に挙げたものです。つまり、縛りがないと、システムの現状に関する内容がなかなか出てこなくなってしまう訳です。

順を追って構築するべきシステムの姿を整理していくことは大事です。必要な仕様を漏れなく拾うため、当然のことと考えないといけないですね。

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ソフトバンクモバイルの予想外な割引について

「携帯電話の通話料は得なんだか損なんだか分からない」というような話を、つい最近仲間内でしていたのですが。

相談が相次いでいるのは、携帯電話機の販売における、クレジット分割払いの契約(個品割賦あっせん契約)と「新スーパーボーナス特別割引」の割引サービスを組み合わせたプラン。2年間のローン契約と割引制度を組み合わせた契約方法で、契約料金無料で、端末代は24回の分割払いにした月々2670円だが、「新スーパーボーナス特別割引」による割引額月々2280円となり、最終的に毎月の支払額は390円に設定されている。

 ところが、自宅で電波がつながらなかったなどの理由で、この契約をした消費者が解約を申し出たところ、販売店側は「解約には応じるが、クレジット契約期間が終了する2年間毎月2670円を払い続けるか、端末の一括購入代金6万4080円を払わなければならない」と説明。

「解約で6万円請求--消費者生活センターがソフトバンクに改善要望書」,CNET Japan,Emi Kamino,2007/01/31 17:57

携帯電話の通話料って、何であんなに分かりにくいのですかねー。イニシャルコスト、ランニングコスト、ついでに解約時のコストを出す料金シュミレータを用意してくれても良さそうなものですが。ちなみに私は、通信業界ではありませんけど、料金シュミレータのプログラムを開発したことは、何度かあったりします。結構、他の業界では料金シュミレータを提供しているみたいなんですけどね。

先日、とある方に、「会社がつぶれるとき」という話を聞いた。曰く、「売上、利益の不振やキャッシュの不足等、会社がつぶれると言われる要因はたくさんあるが、本当はそんなことでは会社は潰れない。会社が潰れるのは、“ごまかし”をしたときだ。」ということだったのだが、なるほど例外はあるにしても、肝に銘ずべきお話だと思った。

「会社がつぶれるとき - テクノロジー解放日記」,ITmedia オルタナティブ・ブログ,小椋 一宏,2007年01月31日

私も結局のところ、商売の秘訣は誠実さ・正直さであるという、当たり前の結論に到達しています。”ごまかし”で瞬間的・短期的に儲けることはできても、長く続けることはできませんからね。「正直者が損をする」のは、対顧客の場面ではなく、対マネジメントの場面であるように思います。逆にマネジメントは、正直者が損をしないように行なわなければならないのでしょうね。

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2007年2月 1日 (木)

スケールの問題

拙ブログのエントリ「医療デスマーチの終焉」「新小児科医のつぶやき」 ブログで取り上げられ、医師の方々の予想外の共感を呼んだようです。取り上げてくださったYosyanさま、また読んで下さった皆様に、改めて御礼申し上げます。

さて、これに関連した以下のブログのエントリを読んで、思いついたことを少し。
(医療には関係がないかもしれません)

レジデント初期研修用資料: デスマーチなんだろうか?

書かれている内容は、私達がスケールの問題と呼んでいるものですかね。

  1. ある種のことは本当にうまくやるには才能が必要だ。
  2. 才能をスケールするのは困難である。
  3. 人々が才能をスケールしようとしてやるのは、才能ある者に作らせたルールに才能のない者を従わせる、ということだ。
  4. 結果として得られるものの品質はとても低い。

ITコンサルティングにおいてもまったく同じことが行われているのがお分かりいただけると思う。

ジョエル・スポルスキ,翻訳: 青木靖,「ビッグマック 対 裸のシェフ」,Joel on Software,2001/1/18

これは経営用語では、規模の経済と呼ばれるものになるのだと思います。

規模の経済 Economies of Scale

規模の経済とは、生産量の増大につれて平均費用が減少する結果、利益率が高まる傾向をいいます。同じ意味で、規模に関する収穫逓増、費用逓減といわれることもあります。

経営用語の基礎知識, NRI, 2004年10月

「才能」という程大袈裟でなくとも、ある程度の熟練を要する労働集約型産業では、スケール・メリットとして収穫逓増は可能でも、費用逓減には限界があるのではないのかな、と思います。つまり劇的なコストの抑制はもたらさない、ということです。これは、ITシステム業界が「オーダーメイドのシステム構築」で身をもって知ったことではないかと思います。

バブル崩壊後の「失われた15年」の間、ITシステム業界(に限りませんが)は、猛烈な価格低下圧力にさらされ続け、ダンピングを繰り返してきました。1年で価格・納期が半分になるくらいの感覚でしたね。結果、大量のデスマーチを生み出し、赤字プロジェクトが続出したわけですけど。

どうもデフレ下で国民の価格に対する感覚が麻痺してしまったのではないか、と疑っています。大量生産の工業品のようなものであれば、規模の利益によって原価を下げ、これを反映することで価格を下げることが可能なのですが、労働集約型産業においても、これと同じことを求めているように感じていました。しかし、産業の構造上不可能だと思います。劇的に価格を下げる場合は、質を落とす・リスクを増やす、といったことになります。

最近ですと建設業界にこれを感じています。公共事業の競争入札で、落札率9割台が「高止まり」と批判を受けて叩かれていますけど、もともと発注側がそんなに余裕をみて予算を積んでいるのか疑問なのですよね。逆に予定価格オーバーで落札者なし、という事例が報道からは出てこないのが不思議です。建設業も労働集約型産業で、人件費が一番大きいだろうと思いますし、そんなに劇的に価格が下がるはずはないように思うのです。落札率6割なんかは明らかに異常でしょう。

ちなみに、ITシステム業界では、一般競争入札を取り入れた結果、入札辞退、予定価格オーバーはもはや常識化した感じです。義理・人情よりも採算性重視になってますね。

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