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2007年3月31日 (土)

情報処理技術者が不足?

2007年3月27日付けの日経新聞朝刊の記事です。

厚生労働省によると、情報処理技術者の一月の有効求人倍率(パートを含む常用雇用ベース)は、3.68倍。全職種平均の1.09倍を大きく上回っており、同分野の技術者不足が鮮明になっている。

「転職サイト各社 『情報処理技術者』に重点」, 日本経済新聞, 2007年3月27日朝刊15面

2月の値で見ると、情報処理技術者の有効求人倍率は3.71倍、全職種では1.09倍となっていますね。

厚生労働省:一般職業紹介状況(平成19年2月分)について:職業別一般職業紹介状況[実数](常用(含パート))

他の職種の値も併せてみますと、上から6番目に位置しています。

建設体工事の職業 6.25

医師、歯科医師、獣医師、薬剤師 6.11

機械・電気技術者 4.74

保安の職業 4.67

接客・給仕の職業 3.84

情報処理技術者 3.71

長期時系列表からグラフを作ってみました。

Graph20070331_1

 








2年ほど前に3倍を超えたみたいですね。

現場でも不足感は相当あります。中国系・インド系の技術者の方も良く見かけるようになりましたね。今後、国内だけで技術者が充足することはないように思います。

今後を見据えれば、オフショア開発も必要なのは確かでしょうね。オフショア開発は、良く見受けられるような、安く買い叩くような発想ではなく、かの地の技術者の方々と、長期に渡るパートナーシップを築く考えで進めるべきと考えます。

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2007年3月29日 (木)

自動車制御OS

今朝の日経新聞一面で取り上げられていました。

 トヨタ自動車はパソコンの基本ソフト(OS)に相当する自動車搭載用の標準ソフトウエアを独自開発する。自動車はIT(情報技術)化が急速に進展。ソフト開発に必要な人員やコストが膨らんでいる。トヨタは世界の自動車大手に先駆けて標準ソフトを導入して開発を大幅に効率化、安全など今後の技術高度化に道を開く狙い。

「自動車制御 トヨタが標準ソフト」, 日本経済新聞, 2007年3月29日朝刊一面

以前、レクサスの制御を行なうソフトウエアが1,000万ステップを超えるとかで、話題になっていましたが。自動車の世界でも、ソフトウエア開発の量は急速に膨張しているようですね。携帯端末などの組み込み系ソフトウエアでは、OSはもちろん、データベースなどのミドルウエアも既に使用されているようですから、驚くような話ではないのかもしれません。

 標準ソフトは電子制御の基本機能を担い、車に搭載する数十の超小型コンピュータ(マイコン)に共通して使える。これにエンジン、ブレーキ制御など個別機能に対応する応用ソフトを組み合わせる。

このあたりが、自動車独特の感じがしますね。汎用コンピュータや、同じ組み込み系でも、家電製品の場合は、電子制御が主、メカは従となってシステム全体を制御するのでしょうが。自動車の場合は、メカが主で電子制御は従という位置付けなのでしょう。パソコン・家電製品などのエレクトロニクス分野でのOSのイメージとは、幾分異なるように思います。

 現在一台の車には平均四十個程度のマイコンが搭載されている。トヨタの最高級車「レクサスLS460」は衝突防止のためにレーダーやセンサーを駆使。搭載マイコンは約百個に上っており、今後も自動車のコンピュータ化は急ピッチで進むとみられている。
 それに伴いソフトの開発量も急増。車種によってはソフト技術者を五百人動員しても開発に二年以上かかるという。プログラムの欠陥が原因となる不具合も増え、品質検査の作業も大きな負担になっている。

500人×2年=12,000人月ですか。凄まじいですね。現代が「ソフトウエアの時代」であることを実感する記事でした。

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オフショア開発の誤謬

日経BP社ITproに対照的な記事が掲載されていました。

「オフシェア並みの料金でお願いしたい」。最近、こんなシステム商談が増えていることにITサービス会社の経営者らは危機感を募らせている。…

ところがユーザーから「30万円」と言われれば、極端に言えば新人の給与も支払えない事態になる。「30万円は無理です」となれば、ユーザーはオフシェアへとなる。…

TISの岡本社長の心配事:ITpro Watcher,  2007年03月28日


あるオフショアのケースでは,当初,日本国内委託に比べて40%のコスト削減になる計画だったものが,オフショア開発の失敗により反対に60%もコストが増え,納期も半年遅れ,日本側リソースがフォローに当たったために別のプロジェクトチャンスも失った例があります。

海外アウトソーシングでパフォーマンスは本当に上がるのか:ITpro Watcher, 2007年03月27日

「ソフトウエア開発を、中国・インドなどの人件費の安い国に委託することで、開発費が半額以下になる。」

などというのは、あまり現実的な考えではないでしょうね。どうも値下げ要求の理由付けに、こうした誤謬が良く使われるようですけど。

案件を海外に出す場合、国内よりも高度なマネジメントが必要になるでしょう。また、翻訳・貿易関係の手続きなど、国内で開発する場合には必要のない作業も色々と増えるようです。結局、15%程度コストが削減できれば成功、というのが現実的みたいですね。


コミュニケーションや見えない管理作業などのオーバーヘッドを考慮すると、国内開発と比べてオフショア開発の作業効率はかなり悪くなります。米調査会社META Groupは、「オフショア開発におけるコスト削減率は15%程度」とレポートしていますが、この数値は私の経験とも一致しています。

@IT情報マネジメント:なぜ、中国オフショア開発の見積もりは高いのか?, 2004/11/12

単純に技術者の人件費単価だけで比較すれば、国内開発はオフショアに太刀打ちできませんが、工期・管理コストという点では、国内の方が有利でしょう。建設業の世界では、コスト削減に最も有効なのは、人件費の単価を減らすことではなく、工期の短縮であるとされているそうです。

人件費の単価だけを取り上げるところに、オフショア開発の誤謬があるように思います。

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2007年3月16日 (金)

社会人基礎力-職種別分析【IT系】より

経済産業省が、”企業の「求める人材像」調査2007~社会人基礎力との関係”というアンケート調査を結果を公表したそうです。

経済産業省調査結果、IT系は「情況把握力」、「ストレスコントロール力」が不足 - ナレッジ!?情報共有・・・永遠の課題への挑戦 [ITmedia オルタナティブ・ブログ]

ソースは以下で、私も目を通してみました。

企業の「求める人材像」調査の結果について~社会人基礎力との関係~ 報道発表(METI/経済産業省)

IT系職種について、以下のようにまとめられていますね。

職種別分析【IT系】

○求める社会人基礎力は、「考え抜く力」が最も高く、唯一全職種平均を上回っている。また、不足が見られる社会人基礎力については、「前に踏み出す力」の不足が最も目立っており、「チームで働く力」とともに、不足の度合が全職種平均を上回っている。

○要素別では、「課題発見力」、「情況把握力」、「創造力」などが、全職種平均に比較して高く求められている。そのうち、「情況把握力」、「ストレスコントロール力」の不足が、全職種平均に比較して目立っており、ニーズが高い能力といえる。

確かに、「情況把握力」、「ストレスコントロール力」の不足が指摘され、ニーズが高い能力とされていますね。

情況把握力
自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力
例)チームで仕事をするとき、自分がどのような役割を果たすべきかを理解する。

ストレスコントロール力
ストレスの発生源に対応する力
例)ストレスを感じることがあっても、成長の機会だとポジティブに捉えて肩の力を抜いて対応する。

素朴な疑問ですが、ストレスってコントロールできるものなのでしょうかね。私の印象だと、もっぱら本人の性格によるという気がしますが。ストレスに強い人というのは、周囲の人間のことを、あまり気にしない人だと思います。良くいえばマイペースな人。IT業界には、そういうタイプが多いような気がします。

そうすると、「情況把握力」なるものとは衝突しそうですね。周りを気にするタイプの人は、プレッシャーからくるストレスに負けてしまうことが多いような...

しかし、暗に高ストレスにさらされる職種であることを示しているような調査結果ですね。まあ、実態は出来るだけ知ってもらった方が良いと思いますけど。

その一方で、「感情的コミュニケーション」は、若いうち (例えば 30歳前半まで) は手を出さないようにして欲しいコミュニケーション能力である。特に研究者や技術者を目指そうとする若い人たちには、周りの人がどう思うかなんかは気にせず、 (「空気嫁!」などの罵倒は無視して) 我が道を進んで欲しい。

仙石浩明の日記: 「人を動かす」感情的コミュニケーション能力と 「モノを動かす」論理的コミュニケーション能力

論理的コミュニケーション能力と感情的コミュニケーション能力、という分け方に感心してしまいました。

私も若いエンジニアの方々には、論理的コミュニケーション能力の方を、まず優先して、鍛えていただくのが、良いと思います。これから技術を学んでいく上で基礎となる部分ですからね。勉強の仕方を勉強するようなものだと思います。

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2007年3月14日 (水)

日本のソフトウエア産業の衰退

「衰退」というのが前提になっているようですが。

日本のソフトウエア産業、衰退の真因:ITpro

「衰退」が何を意味するのか良く分からない、という感想が語られています。

日本のソフトウェアは世界一だ! - 日本のITは世界を制す!? [ITmedia オルタナティブ・ブログ]

確かに、論点がいまひとつ定まらず、散漫な印象の記事ですね。

ちなみに、経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」の「情報サービス業」を見ると、産業が衰退している、というのは当てはまらないかな、と思います。売上高で見る限りですが。

経済産業省 特定サービス産業動態統計

数値ですと分かりにくいので、グラフにしてみました。

Graph20070314_3








以下の記述からすると、ソフトウエアの品質について「衰退した」ということだろうとは思います。

ヨードンが前掲書に、またクスマノが『日本のソフトウエア戦略』に書いたように、メインフレーム全盛時代の日本のソフトウエア開発力は、かなり高い水準にあると評価された。当時の調査の実態を知る筆者から見ると、これらは選別されたデータに基づく、やや過大な評価であった。それでも、富士通、日立製作所などコンピューターメーカー各社が、製造業の伝統を継承し、それぞれが「プロダクト指向の品質ドリブンモデル」とでも言うべきソフトウエア開発モデルに沿って、かなり高い水準の品質と生産性を達成していたことは事実である。当時の日本企業はソフトウエア開発環境への投資にも熱心であった。

 ところがその後、米国やインドとは逆に、日本のソフトウエア開発の国際競争力を憂慮せねばならない状態に陥った。開発プロジェクトの混乱、製品出荷後の不具合、システム稼働後のトラブルをしばしば耳にするようになり、国内の開発者だけではソフトウエア開発への要求を満たせなくなった。

受託ソフトウエア開発に関しては、ハードメーカーのクローズドなシステムから、オープンなシステムへと移り変わったことが、業界全般としての、納入物件の品質低下をもたらす一つのきっかけとなったのは確かでしょうね。

耐震偽装事件のとき、規制緩和で技術のない会社でもマンションの企画・販売ができるようになったことを、事件の背景に挙げていらした方がいましたが、情報システムのオープン化は、ハードメーカーからの、「規制緩和」として機能したように思います。

汎用機とPCでは、値段の桁が2つ3つ異なるわけでして。なぜかこの値段の法則は、ハードだけではなく、ソフトにも適用されてしまうようですね。

ただ、汎用機全盛の頃と今とでは、技術・社会環境・業界構造など、何もかもが違ってしまっていると思いますので、比較することに意味があるかどうかは疑問です。

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2007年3月13日 (火)

kill dash nine (kill -9)

というラップ・ミュージックだそうです。

Geekなぺーじ:kill -9 ラップ

「殺す」だの「死ぬ」だの「ゾンビ」だの...物騒ですよね。他業種の方から見ると、相当おかしいらしいです。

以前、機械系のエンジニアの方が、PCの電源を入れることを、

パソコンに火をいれる

とおっしゃっていて、面白いと仲間内で話題になったことがありましたけど、まあ、他の方のことを言える立場ではなかったりします。

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個人情報864万件が流出

日経新聞(2007/3/13付け朝刊1面および3面)によれば、「過去最大規模」だそうです。

大日本印刷(DNP)は3月12日、ダイレクトメール(DM)などの印刷物作成のために得意先から預かった個人情報863万7405件が流出していたことが判明したと発表した。

大日本印刷、DM作成のために預かった43社の個人情報864万件が流出 - CNET Japan

クレジット・カード番号も流出して、それが通販詐欺グループに使用され、警察の捜査で流出元が判明したみたいですね。

業務委託先の従業員が、MO・USBメモリなどの記憶媒体にデータをコピーして持ち出した、とのこと。日経新聞では、「”ひ孫請け”に当たる協力会社の元社員」となっています。

USBメモリにデータをコピーしてもち出す、というのは、実行は簡単ですが、防ぐのはなかなか難しいでしょうね。USBポートやPCのローカルディスク内のデータまで監視している企業ってあるんでしょうか。確か、PCのUSBポートを物理的に「封印」している企業はあったように思いましたけど。

セキュリティも突き詰めていくと、最後は信頼するしかないというところに行き着いてしまいます。

日経新聞では「監視カメラ」やら「操作記録」やらが取り上げられていますけど、個人的には、”ひ孫請け”の方が気になりますね。誰だか知らない人が、頻繁に出入りしているような、そんな職場を想像しました。

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「働きがいのある会社」ランキング

というのがあるそうです。

「働きがいのある会社」を取り戻せ-IIJが日本生まれのIT企業でトップになった理由:ITpro

アメリカでは10年前から始めたそうで、フォーチュン誌で結果が公表されているとのことです。アメリカでの今年の1位がGoogle。

日本では今回は初めてとのことで仕方がないのでしょうが、62社というのはちょっと寂しいですね。

従業員へのアンケートをもとにスコアを作るそうですが、実際にアンケートを行なうのは、調査対象の各社に任されるみたいです。この方法ですと、否定的な評価は出にくくなるように思えるのですが。

具体的には「管理者は,えこひいきをすることはない」「裏工作や他人を誹謗中傷する人はいない」「昇進すべき人が昇進している」という設問に対し,否定的な評価をする人が多かったということだ。

 このほか「信用」や「尊敬」に対する点数も他国に比べて低かった。「経営陣は約束したことをきちんと果たしている」「経営陣は言うこととやることが一致している」という項目への評価が低い。

アンケートのやり方が良く出来ているのか、比較的風通しの良い会社が対象となったせいなのか...

こういったアンケートの設問は、Noが答えとなるように作るのが良いそうで。でも設問がやや刺激的な表現のような気もします。

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2007年3月 6日 (火)

新聞の「客観報道」と「われわれの意見」について

最近はあまり耳にしないような気がしますが、新聞社は自らの報道を「客観報道」だとしていたように思います。「客観報道」とは矛盾に満ちた言葉だなあ、と思っていたのですが、以下の記事を読んで少し分かったような気がしました。

CNET Japan Blog
佐々木俊尚 ジャーナリストの視点:
「新聞が背負う「われわれ」はいったい誰なのか」

新聞記事の意見というのは、主語が「われわれ」であり、この「われわれ」とは、国民一般のこと、つまり国民一般の意見として書かれてる、という趣旨だと思います。

ライティングの基本事項として、「事実と意見を区別して書く」というものがあったと思います。ここで言うところの「事実」には、他者の意見も含まれます。「意見」は自分自身の意見ですね。つまり、自分自身の意見と、それ以外のものを区別するように、ということだと考えます。

この面からすると、確かに新聞記事は「客観報道」である訳ですね。国民一般の意見というのは「事実」でありますし、記者自身の意見はどこにもないとするなら、記事は全て「事実」から構成されていることになります。これを「客観報道」と称するロジックなのでしょう。

もちろん、実際には国民一般の意見を装って、記者自身の意見が書かれているわけですから、詭弁に他ならないわけですけどね。それが国民一般の意見であるという根拠・証拠はどこにもないわけですし、「事実」とするには相当無理があります。論文の場合は、他者の意見を「事実」として記すなら、出典の明示が必要ですよね。

「弱者のための新聞」?
 しばらく前、知人の毎日新聞幹部が、「都市型新聞を目指したって朝日、日経に勝てるわけがない。だったらうちは徹底的に『弱者のための新聞』を目指すしかないんだ」と言っていたことがあった。
 たしかに最近の毎日の紙面を見ていると、このような方向性に進みつつあるのかと思うこともある。世間の潮流からこぼれ落ちてしまった部分に、とにかくこだわっていこうという姿勢であり、弱者に光を当てていこうという視点の持ち方だ。

特定の集団を装って、自らの意見を表明しようとするところに、根本的に無理があるように思います。記事にあるのは、あくまで記者個人の意見であり、それを明確にするのが本筋でしょうね。

個人が個人として意見を表明するのが難しいのが日本社会ではありますので、新聞記者がこうした歪な形でしか意見を表明できないのは、感覚的にはわかるのですけどね。

おまけ:
毎日新聞社会部「医療クライシス」係への意見書1
毎日新聞社会部「医療クライシス」係への意見書2

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理科系の作文技術 Book 理科系の作文技術

著者:木下 是雄
販売元:中央公論新社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

「事実」と「意見」の話は、確かこの本で知ったのだと思います。本が手元にないので、記憶頼りですけど...違っていたらごめんなさい。Amazonのカスタマーレビューで、この話が触れられているので、たぶん間違いないかと。

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2007年3月 4日 (日)

医療崩壊マップ

二番煎じか、三番煎じか、わかりませんが...

「勤務医 開業つれづれ日記」さんの

【産科・小児科 休止一覧 2 】日本全国 今後の崩壊予定

を地図上にプロットしました。

以下をクリックすると表示します。

医療崩壊マップ

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医療危機とソフトウエア危機

「新小児科医のつぶやき」 のコメント欄に以下の意見が出されていました。元は週間新潮の連載記事だそうです。

医者が減った、絶対数が少ないからと報道していたが、どう考えても納得いかない。今は27万人以上で、1970年ごろは11万人だったが小児科・産婦人科が不足している話など無かった。

これに対する医師サイドの意見は、30年前と比較して、医師の仕事量は格段に増加していて、現在の人員ではとても足りない、というものです。

以下から私の考察です。

医師の仕事量が増えたのはなぜか?

根本的な原因を考えると、やはり医療技術の進歩があるように思います。検査の数・量が増え、発見される疾病が増える、また、治療可能な疾病が増え、治療の数も増える、という構図ですね。

さらに、インフォームド・コンセントなど、治療以外の仕事の増加もあるでしょうが、これは、社会が変化したことの反映であり、社会の変化をもたらしているのは技術の進歩であるように思います。この場合は、医療技術に限らず、科学技術全般の進歩が、ユーザの期待を増大させている面があるかもしれません。

では、現在どの程度の人員が必要なのか?

専門家ではありませんので、わかりません。この場合は、医療政策の専門家が見積もる話になるのでしょうか。医療技術がどの程度の速度で進歩し、必要人員がどの程度の速度で増加するのか、定量的に見積もる必要があると思います。

我がIT業界で有名な法則として、ムーアの法則というものがあります。

ムーアの法則とは、最小部品コストに関連する集積回路におけるトランジスタの集積密度は、18~24ヶ月ごとに倍になる、という経験則である。

"ムーアの法則." Wikipedia, . 25 2月 2007, 15:09 UTC. 4 3月 2007, 00:29

ものすごく単純化して、コンピュータ・ハードウエアの価格性能比は、1年半で倍になる、としてしまっても、ユーザの感覚としてはおかしくないと思います。実際には、ハードの性能が向上すると、ユーザの期待はそれをはるかに上回って増大する、というのが、業界の人間の感覚ですね。

ハードの性能が凄まじいスピードで向上し続けた結果、ソフトウエア開発がこれに追いつかなくなる、という問題が表れました。これがソフトウエア危機です。1960年代の終わり頃から言われ始めた言葉のようです。

The software crisis was a term used in the early days of software engineering, before it was a well-established subject. The term was used to describe the impact of rapid increases in computer power and the complexity of the problems which could be tackled. In essence, it refers to the difficulty of writing correct, understandable and verifiable computer programs. The roots of the software crisis are complexity, expectations, and change.

ソフトウエア危機は、ソフトウエア工学が生まれた初期に使われた言葉。コンピュータの計算能力の劇的な向上の結果、コンピュータが扱える問題が複雑化した状況を指す。より直接には、正しく、理解が容易で、検証可能なコンピュータ・プログラムを書くことの難しさを言う。ソフトウエア危機が起きた要因として、問題の複雑化、ユーザの期待の増大、時代の変化がある。

"Software crisis." Wikipedia, The Free Encyclopedia. 27 Feb 2007, 01:19 UTC. Wikimedia Foundation, Inc. 4 Mar 2007

今でもソフトウエア開発というのは、大部分、プログラマの手作業によって行なわれており、ソフトウエア危機の状況は、継続中であるといって良いと思います。最近では、携帯電話などの組み込みソフトウエアで、ソフトウエア危機が言われていますね。

こうした事態は、表面的には、人手不足の問題として表れます。実際、SE不足、プログラマ不足はかって深刻な問題として言われていましたし、今でも言われています。

しかし、技術が進歩を続ける限り、そして技術の進歩を止めることはできないわけですから、人員は永久に不足を続けます。人が足りないから人を増やせばよい、という単純な問題ではないのは明らかだと思います。

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2007年3月 1日 (木)

従業員満足と顧客満足

従業員満足と顧客満足には強い相関関係がある、という話です。

従業員満足が、顧客満足に繋がる - 永井孝尚のMM21 [ITmedia オルタナティブ・ブログ]

この話は以前にもITmediaの記事で取り上げられていましたね。

ES(Employee Satisfaction、従業員満足)が企業業績やCS(Customer Satisfaction、顧客満足)に与える影響に関する議論や調査・研究は多く、その相関関係は今や常識である。

 しかし経営の現場においては、ESに対する認識がまだまだ甘い。ことCSになると意識の上でESと関連付けられないのか、トップと経営陣が相変わらず「CS、CS・・・」と直接的に大声で叫ぶだけ、特に致命的欠陥商品を市場に出荷してしまったときは、全社で単純にCSの大合唱が響きわたる。ESがなければ、どんなに気合を入れても従業員は顧客の方を向く余裕などない。仮に向いても、形だけである。

「従業員不満足」がCS低下を招く-企業にはびこる「間違いだらけのIT経営」:第16回,ITmedia エンタープライズ,2006年11月15日 09時00分 更新

当たり前のことではあるんですけどね。従業員が自分のことだけで、精一杯になってしまうと、他の人のことを考える余裕などなくなってしまうわけでして。この当たり前のことがなぜ実践できないのかが問題でしょう。従業員満足というのは、売上・利益などの数字と違い、曖昧で測りがたい、というのはあるでしょうけど。

...People are idiots.
Including me. Everyone is an idiot, not just the people with low SAT scores. The only differences among us is that we're idots about different things at different times.

Scott Adams, THE DILBERT PRINCIPLE, Boxtree, 2000, p.2

個人でも賢明であろうとするのは非常に困難ですけど、組織が賢明になるのはさらに難しいと思います。

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The Dilbert Principle (Dilbert) Book The Dilbert Principle (Dilbert)

著者:Scott Adams
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