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2007年3月 4日 (日)

医療危機とソフトウエア危機

「新小児科医のつぶやき」 のコメント欄に以下の意見が出されていました。元は週間新潮の連載記事だそうです。

医者が減った、絶対数が少ないからと報道していたが、どう考えても納得いかない。今は27万人以上で、1970年ごろは11万人だったが小児科・産婦人科が不足している話など無かった。

これに対する医師サイドの意見は、30年前と比較して、医師の仕事量は格段に増加していて、現在の人員ではとても足りない、というものです。

以下から私の考察です。

医師の仕事量が増えたのはなぜか?

根本的な原因を考えると、やはり医療技術の進歩があるように思います。検査の数・量が増え、発見される疾病が増える、また、治療可能な疾病が増え、治療の数も増える、という構図ですね。

さらに、インフォームド・コンセントなど、治療以外の仕事の増加もあるでしょうが、これは、社会が変化したことの反映であり、社会の変化をもたらしているのは技術の進歩であるように思います。この場合は、医療技術に限らず、科学技術全般の進歩が、ユーザの期待を増大させている面があるかもしれません。

では、現在どの程度の人員が必要なのか?

専門家ではありませんので、わかりません。この場合は、医療政策の専門家が見積もる話になるのでしょうか。医療技術がどの程度の速度で進歩し、必要人員がどの程度の速度で増加するのか、定量的に見積もる必要があると思います。

我がIT業界で有名な法則として、ムーアの法則というものがあります。

ムーアの法則とは、最小部品コストに関連する集積回路におけるトランジスタの集積密度は、18~24ヶ月ごとに倍になる、という経験則である。

"ムーアの法則." Wikipedia, . 25 2月 2007, 15:09 UTC. 4 3月 2007, 00:29

ものすごく単純化して、コンピュータ・ハードウエアの価格性能比は、1年半で倍になる、としてしまっても、ユーザの感覚としてはおかしくないと思います。実際には、ハードの性能が向上すると、ユーザの期待はそれをはるかに上回って増大する、というのが、業界の人間の感覚ですね。

ハードの性能が凄まじいスピードで向上し続けた結果、ソフトウエア開発がこれに追いつかなくなる、という問題が表れました。これがソフトウエア危機です。1960年代の終わり頃から言われ始めた言葉のようです。

The software crisis was a term used in the early days of software engineering, before it was a well-established subject. The term was used to describe the impact of rapid increases in computer power and the complexity of the problems which could be tackled. In essence, it refers to the difficulty of writing correct, understandable and verifiable computer programs. The roots of the software crisis are complexity, expectations, and change.

ソフトウエア危機は、ソフトウエア工学が生まれた初期に使われた言葉。コンピュータの計算能力の劇的な向上の結果、コンピュータが扱える問題が複雑化した状況を指す。より直接には、正しく、理解が容易で、検証可能なコンピュータ・プログラムを書くことの難しさを言う。ソフトウエア危機が起きた要因として、問題の複雑化、ユーザの期待の増大、時代の変化がある。

"Software crisis." Wikipedia, The Free Encyclopedia. 27 Feb 2007, 01:19 UTC. Wikimedia Foundation, Inc. 4 Mar 2007

今でもソフトウエア開発というのは、大部分、プログラマの手作業によって行なわれており、ソフトウエア危機の状況は、継続中であるといって良いと思います。最近では、携帯電話などの組み込みソフトウエアで、ソフトウエア危機が言われていますね。

こうした事態は、表面的には、人手不足の問題として表れます。実際、SE不足、プログラマ不足はかって深刻な問題として言われていましたし、今でも言われています。

しかし、技術が進歩を続ける限り、そして技術の進歩を止めることはできないわけですから、人員は永久に不足を続けます。人が足りないから人を増やせばよい、という単純な問題ではないのは明らかだと思います。

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