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2007年4月 7日 (土)

モデルと現実と

「レジデント初期研修用資料: 現場の狂気と教科書の正気」 より。いつもお世話になっています。

正しい教科書は正しいやりかたを教えてくれない

医療ならどの分野でもそうだろうけれど、現場でやってることは、教科書にはほとんど書いていない。

日経コンピュータだったか、オブジェクト指向ソフトウエア開発が「先進的事例」として紹介されていた記事で、以下のような発言がありました。

「(オブジェクト指向の)理論どおりなのにうまくいかなかった」

リモート・オブジェクトを使用した開発で、それが、EJBだったかCORBAだったかRMIだったかは忘れてしまいましたけど。なんでも、「ひとつの項目をひとつのオブジェクトとする」のが「理論どおり」だとかいう記事でしたね。

まあ、「すべてをオブジェクト」にするのは、オブジェクト指向のひとつの考え方としてあるわけですが、「すべてをリモート・オブジェクト」にするのは、問題ありすぎるのは、少なくとも今では常識でしょう。その記事が掲載された当時でも、現場感覚からすると、ありえない感じではありましたけど。

Session Facadeパターンは、EJBコンポーネントの利用に際して、最も広く定着しているベストプラクティスの1つである。実のところ、このパターンは、 CORBAやEJB、DCOMなどのあらゆる分散テクノロジー分野で用いられている普遍的なルールを表したものだ。つまり、アプリケーションにおける「ネットワークの横断」をなるべく減らすという原則である。これにより、細かなデータがネットワーク上を何度も行き交うことによるオーバーヘッドの発生を防止できる。

@IT:J2EEのベストプラクティス・トップ10(後編)

もうひとつ。ソフトウエア開発プロセスに関するウォーターフォール・モデル。これは、現場の開発者には評判の悪いモデルです。

一般に理解されるウォーターフォール・モデルは手戻りを許さない逐次開発型であるため、工程間のフィードバックが必然的に発生する実際のソフトウェア開発という作業の実情にそぐわないとの批判も多い。また、ウォーターフォールはプロジェクト管理に膨大な手間がかかること、システム開発の短納期化へのニーズが強いことなどから、反復型開発手法などと折衷したモデルなども提唱されている。

ウォーターフォール・モデル - @IT情報マネジメント用語事典

私個人としては、ウォーターフォール・モデルは、ソフトウエア開発プロセスの「静的な構造」を明確にしたと言う点で、高く評価しています。ひとつのモデルとして。

現実を無理矢理にこのモデルに合わせようとする人達が出てきてしまったのが、このモデルの評判を落としてしまいましたね。それだけこのモデルが、(素人にも)わかりやすいものであったわけで、現実をうまく抽象化したという点で、モデルの評価を高めるものだとは思います。

理論と現実というのは異なるもので、現実は理論どおりではないというのは、当たり前のことだとは思います。技術者は、理論と現実のギャップを埋めるのが、その役割であると思うのですけどね。技術者が理論を言い訳にするのは、本末転倒のような気がします。

しかし、技術者にも説明責任が求められる昨今ですから、理論と現実のギャップをどう説明するのか、悩みどころです。現実を無理矢理にでも理論に合わせれば、説明が楽になるのは確かなのですけど。

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コメント

>現実を無理矢理にこのモデルに合わせようとする人達
どこの分野にもこういう人いるんですよねぇ…。だからといって、じゃぁ自分達の正当性を
理論だって説明できるか?と自問すると、それもまた難しかったりして、うまくいかないです。
現場主義が突っ走ると魑魅魍魎の世界になっちゃいそうですし、理論化が現場を仕切ると
それもまた困ったことになりますし。

投稿: medtoolz | 2007年4月 8日 (日) 11時54分

medtoolzさん、コメントありがとうございます。

>現場主義が突っ走ると魑魅魍魎の世界になっちゃいそうですし

もちろん、このパターンもあるんですよね。理論無視で現場のカンだけで突っ走るという。かといって、現場の暗黙知をすべて形式知にして、理論の遡上に乗せるのは不可能ですし。頭の痛い話です。

投稿: ron | 2007年4月 8日 (日) 20時40分

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