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2007年9月21日 (金)

日本の税制

財政学 (有斐閣ブックス)Book財政学 (有斐閣ブックス)

著者:金澤 史男
販売元:有斐閣
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通勤の際、電車の中で読んでいるのですが、なかなか面白いといいますか、考えさせられるといいますか。つい読みふけって、電車を乗り越してしまったり。。。

今日、日本の税制の箇所を読み終わったのですが、まず、興味深いのが、以下の国民負担率の内訳の国際比較です(画像をクリックすると拡大)。

Graph20070921









報道等で、日本の消費税率は諸外国に比べて低い、という話が出てきます。租税負担の国民所得比でみますと、確かにイギリス・ドイツ・フランスに比べると低いのですが、アメリカよりは高いのですねえ。

また、法人税についても似た主張がなされますが。

... 法人税減税を主張する企業側の言い分は、日本の法人所得課税の負担が国際的にみて高い水準だという点である。法人税に法人住民税、事業税を加えた実効税率は、1997年49.98%で、2004年以降39.54%となり、この間だけで10ポイントも減少している。2003年時点で主要国を見ると、アメリカ 40.75%、ドイツ 39.69%、フランス 34.33%、イギリス 30.00% となっている。すでに日本の法人所得課税は、国際的に高いとはいえない水準にある。

同書, p.124

しかも、企業負担としては、社会保障負担の事業主拠出分を考慮する必要がある。98年の数値だが、事業主拠出の対GDP比をみると、日本 5.6% に対して、イギリス 7.9%、ドイツ 11.3%、フランス 14.2% となっている。これを含めた場合、日本の実質的な企業負担の水準は、国際的に見てかなり低いと考えられる。

同書, p.124

社会保障負担の事業主拠出にアメリカが出てこないのは、皆年金・皆保険がないためですかね。しかし、漏れ聞こえるところでは、アメリカの企業が従業員の年金や医療保険を全く負担してないわけではなく、民間の高額な保険料の一部/全額を負担しているようですから、主要国中でもかなり重い負担になっていそうに思います。

しかし、一番目立つのは、所得課税の低さでしょう。

日本の場合、こうした所得税・住民税など個人所得課税の改革が、消費税の導入とセットになって実施された点に特徴がある。レベニュー・ニュートラル(増減税同額)が税制改革の枠組みとされ、所得税などの直接税の減税を消費税の増税が埋めるかたちとなった。 ...
... この税制改革では、給与所得者の場合、年収約700~800万円層を境として、それ以上の所得層は減税、それ以下の大多数の国民は増税という結果になった。

同書, p.123

累進性をもつ所得税を「フラット化」(定率化)の方向で減税して、逆進性をもつ消費税を増税する、という昨今の税制の流れは、高所得者層の負担を減らして低所得者層の負担を増やすことになりますね。

... それにしても金融機関優遇や富裕層優遇の程度は異常としか言いようがない。それでも、国民がこれを受容してきたのは、バブル崩壊後の金融不安のなかで、金融システムを安定化させ、金融ビッグバンへの対応と景気回復を図る緊要性を認めたからであろう。 ... かりに、こうした特殊事情からする変態的税制をそのまま維持しようとするならば、不公平税制の恒久化と呼ばれても仕方ないであろう。

同書, p131

高所得者層の租税負担を減らすのは、自ずと「小さな政府」を指向することになるかと思います。税負担を所得にかかわらずフラットにしようとすれば、低所得者層の負担限度が、税負担の限度となりますので、政府は最低限の収入しか得られないでしょうから。

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2007年9月20日 (木)

外部設計書記述ガイドライン

 NTTデータ、富士通などシステム開発会社九社は十八日、情報システム設計図の書式統一に向けたガイドラインを発表した。システム設計の初期段階で顧客が理解できるようにするため、わかりやすい設計図に統一するよう業界各社に促す。
 システム障害に迅速に対応したり、開発費が膨らむのを防いだりするには、顧客ニーズとシステム機能の食い違いを早期に発見・修正できる仕組みが不可欠と判断した。

「設計図統一へ指針 システム概要、顧客と共有」, 日本経済新聞, 2007年9月18日, 13面

「発注者ビューガイドライン(画面編)」は、Webシステム開発の画面部分に関する外部設計書について記述方法のガイドラインを定めたもの。東京証券取引所とAGSにヒアリングし、ガイドラインに反映した。SIベンダのSEと、発注者企業の情報システム部門・業務部門の担当者を利用者として想定している。

外部設計書の記述方法を標準化、NTTデータなど9社が提唱 - @IT

発注者ビューガイドラインは画面編、システム振舞い編(仮称)、データモデル編(仮称)の3編により構成されます。往々にして発注者と開発者との意識のズレや、発注者や開発者が互いの意図とは異なる理解をしたことに気づかないまま開発が進んでしまうことがあります。本ガイドラインは、このような状態を防止するために作成したものです。本ガイドラインでは設計書や関連する資料の表現や確認方法、レビューの方法を「コツ」として集約し、外部設計工程における生産物の単位に整理しています。

発注者ビューガイドライン(ダウンロード可能), 発注者ビュー検討会, NTTデータ 

実物にざっと目を通した感想です。

これは、汎用機時代以来の、伝統的な外部設計書の内容についてのガイドラインですね。Webシステム開発が題材(Java Pet Store)となっていますが、内容は、汎用機、C/S、Webと、昔から受け継がれてきたものだと思います。

「顧客ニーズとシステム機能の食い違いを早期に発見・修正できる仕組み」というのとは、少し違うような感じです。むしろ、伝統的なノウハウの継承のため、という印象です。これはこれで、大変意義深いものだと思います。ですが、近年のシステムの高機能化、複雑化、なにより社会基盤としての重要性が増していることを考えると、伝統的なアプローチだけでは力不足のように思います。

設計・検証・実装・テストを、より密に結びつけるような手法があると良いのですが。

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2007年9月19日 (水)

郵政民営化・分社化に伴うシステム開発

日経コンピュータ 2007年9月17日号(日経BP社)の特集、「実録!郵政民営化」 より。

今回は、民営化の「暫定対応」とのこと。概略として、以下のような数字が出されています。

総開発規模 4万3000人月
総開発費用 1000億円
システムで利用するメインフレームの台数 130台以上
アプリケーションの総ステップ数 1億ステップ

郵便貯金のシステムというのは、社会保険庁の年金システムと並んで、データ量が日本トップクラスの規模である、という話が、以前、取り上げられていたように思います。奇しくも、両システムともに、「政治問題化」したわけですが。

内訳は以下のとおりで、やはり、貯金が一番大きく、次が簡保となっていますね。金融関係のシステム開発では、数千人月という開発規模は珍しくないようですが、それに比しても、やはり巨大な感じですね。

1) 日本郵政
 郵政総合情報通信ネットワーク PNET : 598億5000万円
 管理系システム(人事・財務など) : 5000人月
2) ゆうちょ銀行
 貯金システム : 2万3000人月
3) かんぽ生命
 保険システム : 1万2000人月
4) 日本郵便
 郵便システム : 2000人月
5) 郵便局
 局会社システム : 1000人月

貯金システムの開発スケジュールは、以下のとおりです。

2005年春 ~ 要件定義・設計
2006年1月~ 実装・単体テスト
2006年8月~ 総合テスト
2007年1月~ 全体テスト
2007年5月~ 本番稼動

2005年4月から開始したとしますと、設計・実装・テスト、それぞれの期間は、9ヶ月・7ヶ月・10ヶ月。割と普通な感じですね。

ちなみに、”bewaad institute” さんのブログでこのネタを思い出したのですが。

3年前、作業着手以前に立てた42,000人月との見通しからすれば、わずか1,000人月の超過(+2.4%)でやりとげたというのは、なかなか立派なプロジェクトマネジメントだったのではないでしょうか。

arnさんのいる場所は暗黒卿はすでに約3年前に通過しているッ! | bewaad institute@kasumigaseki

元記事の図(画像)をよくみると、4万3000人月のところに、注がついておりまして。

※1 PNETは除く。プロジェクト開始前の見積もり。実際はさらに増加している。

4万3000人月は実績ではないようです。1000人月分は、その後の検討で増えた予算でしょうか。

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2007年9月17日 (月)

「消費税目的税化は社会保障費抑制につながる」

中央公論10月号に掲載されている記事です。

...
 しかしながら、一見したところ分かりやすい社会保障目的税化という仕組みは、国民の消費税率引き上げに対する抵抗感を和らげるためだけの表面的な理屈に過ぎず、実質的にはまったく何の意味もないという可能性が高い。
 さらに、制度設計の仕方によっては、社会保障費を財政面から一方的に抑えつけることとなり、社会保障のあり方が根底から揺らいでくることにもなりかねない。

村上正泰, 「消費税目的税化は社会保障費抑制につながる」, 中央公論10月号, 中央公論社, 2007, p.61

 社会保障目的税という名目で増税したとしても、もちろん増税分を社会保障のために使ったと見なすことはできるが、その一方で、それまで社会保障費に充てていた消費税以外の財源を社会保障以外の目的のために使うことも可能となり、実質的には増税が社会保障以外の目的に振り向けられたとさえみなし得ることになるのである。

同, p.61

消費税増税は、国の一般会計の歳入を増やすわけですから、「まったく何の意味もない」とまではいえないとは思います。一般会計から支出されている社会保障関係費にも、いくらかは影響を与えるのではないでしょうかね。

”社会保障目的税”が単なる看板にすぎないのは、そのとおりなのでしょう。社会保障費を増やすとは、政府はひとことも述べていないでしょうし。おそらく、消費税増税は、国の財政健全化が主たる目的なのでしょうが。

それでは、仮に社会保障費を、一般会計と別立てにして、消費税収をその財源としたとするとどうなるか、ですが。

...
このように、とりわけ医療や介護を中心として社会保障費を経済成長に合わせてコントロールすることは物理的に不可能であるが、もし消費税をその財源として目的税化してしまうと、社会保障費は消費税収の伸びに左右されることになる。
 しかしながら、消費税収の伸びは、税率を一定とすれば、おおむね経済成長に左右されると仮定することができよう。そうすると、結局、消費税の社会保障目的税化とは、不可能を可能にしなければならない無理な仕組みということになる。

同, p.63

社会保障費と景気動向が密にリンクするようになるのでしょう。どんな税であれ、「おおむね経済成長に左右される」のであろうとは思いますけど、消費税というのは、景気動向に、よりセンシティブに左右されるように思います。

このため、政府がより社会保障費を抑制する方向へと動く、というのは、ありそうです。

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公正とは何か

 ある時、夕食の席で一緒になった女性が、金持ちの払う税金が少なすぎるのは不公正だと熱心に弁じたてた。彼女がどんな意味で「公正」という言葉を使っているかわからなかったので、こんなふうに訊ねてみた。ジャックとジルが共同の水道を同じ量だけ使っているとしよう。ジャックの所得は1万ドルで税率10パーセント、つまり水道の維持費として1000ドルを支払っている。ジルの方は所得が10万ドルで税率は5パーセント、水道の維持費として5000ドルを支払っている。では、この税制はどちらにとって不公正なのだろうか?

 彼女は、今までそんなことを考えたことがないから、どう考えていいかわからない、と率直に言った。私は彼女とは違って、これまでさんざん「そんなことを考え」てきたのだが、今もってどう答えたらよいのか確信を持てない。

スティーブン・ランズバーグ著, 佐和隆光監訳, 吉田利子訳, 「ランチタイムの経済学」, 日本経済新聞社, 2004, p.86

”健康で文化的な最低限度の生活”を営むには、どれだけの可処分所得(手取り収入)の額が必要か、という価値判断で考えてみます。

例えば国民負担が定率で50%とします。

年収300万円の人 : 負担150万円, 手取り150万円
年収1000万円の人: 負担500万円, 手取り500万円

さて、手取り150万円(月額12.5万円)で、”健康で文化的な最低限度の生活”を営むことは可能でしょうか?

さらに国民負担が定率で70%とします。

年収300万円の人 : 負担210万円, 手取り90万円
年収1000万円の人: 負担700万円, 手取り300万円

手取り90万円(月額7.5万円)までいくと、さすがに無理ですかね?

とりあえずは、手取り150万円を、”健康で文化的な最低限度の生活”を営むのに、必要な額とします。しかし、公共サービスを維持するためには、上の二人で国民負担910万円がどうしても必要であるとします。

そうすると、年収300万円の人は50%以上の負担はできないわけですから、年収1000万円の人に負担していただく他ありません。

年収300万円の人 : 負担150万円, 手取り150万円
年収1000万円の人: 負担760万円, 手取り240万円

年収300万円の人の税率は50%、年収1000万円の人の税率は76%となってしまいましたね。

極端な例ではありますが。定率の税より累進税率の方が国民負担率を引き上げやすい、ということは言えるのではないでしょうか。

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2007年9月15日 (土)

勧善懲悪劇による現実のモデリング

人は、現実の出来事をそのままの形で理解することはできず、なんらかのモデルによって理解しようとします。一般的によく使われるのは、”物語”の形式で、これは、出来事を原因結果の因果律に従って単純化して並べたものとなります。

...
 しかしながら、格闘をしている善良な奴と邪悪な奴がいると想像してごらんなさい。
...もし邪悪な奴が勝ったら、我々の生活は悪いほうに変えられるだろう。もし善良な奴が勝てば、我々の生活は豊かなものとなるだろう。 ...我々の生活における何かが問題となっているのだ。こうすると、ドラマを持つことになる。
 ドラマは葛藤である。それは、誰かが他の誰かと対立することである。 ...
...
ニール・D・ヒックス著, 濱口幸一訳、「ハリウッド脚本術」, フィルムアート社, 2001, p.11

...ドラマは、これが起こりそのためにあれが起こるといった、ストーリーを語るものだ。ドラマは原因と結果の構成を見せて、我々に人生の意味を作り出す拠りどころを与えてくれる。

同, p.12

勧善懲悪の物語というのは、物語のなかでも、もっとも原始的なものの一つで、それゆえ、人々の感情によく訴えるものがあるのだと思います。すなわち、”善良な奴”と”邪悪な奴”がいて、”善良な奴”が”邪悪な奴”をやっつける。すると、全ての問題は解決され、人々は幸福になる、めでたしめでたし。エンドロール。

「現実はそんな単純なものではない」

誰もがそう考えるはずですが、一方で、意識下でそう考えようとする指向性が存在するように思います。こうした単純な二元論というのは、人の考え方の基礎に存在するのかもしれませんね。

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2007年9月14日 (金)

社会保険料はなぜ累進料率にならないのか

昨日の記事の続きです。

イギリスのように税金を財源とすれば、国民全員から累進的に徴収できるが、社会保険方式では所得のレベルとは無関係に同じ割合で保険料が徴収され、所得が一定レベル以上になれば定額となる。

池上 直己, J.C.キャンベル 著,  「日本の医療」, 中公新書, 1996, p.91

なぜ、社会保険方式では、累進的に徴収できないのでしょうか?

かつて、政府の人間はこう言っていた。「あなたの払った保険料は、ほかの人に使われるのではありません。あなたに戻ってくるのです。だから保険なのです」。

「年収150万円と3000万円で“税率”が同じ国」, 構造改革をどう生きるか(第58回)[森永 卓郎氏]/SAFETY JAPAN [コラム]/日経BP社

保険ってそういうものじゃないように思うのですが...”掛け捨て”と呼ばれるように、普通は戻ってこないのが保険じゃないですかね? 払った保険料が必ず戻ってくるというのは保険じゃあないでしょう。

”掛け捨て”という言葉がいみじくも表しているとおり、かって、日本では保険というものに対する人々の理解が乏しく、その結果、預金に近い性格を持つ保険商品が主流となった、という話を聞いたことがあります。社会保険の黎明期に、保険というものの理解に乏しい国民に保険料を納めてもらうため、上のような言い方をしたのですかねえ。

しかし...

”国保”でネットを検索すると、年収300万で50万円の保険料だの、30万円の保険料だの、悲鳴が上がってますね(市町村によって2倍程度の格差があるとか)。上のコラムでも、租税に社会保険料を足すと、年収150万円と3000万円で“税率”が同じになる、と指摘されています。

社会保険料も累進料率にすべきじゃないでしょうか。引き上げ余地はあるはずなのに、低所得者層が定額・定率の負担をしているがために、引き上げられなくなっているように思うのですが。

むろん、税方式にするという案もあるでしょうが、財政的には社会保険方式の方が安定するでしょう。税方式の場合は、政治の動き次第でどうなるかわかりませんし、今の情勢では歳出削減の圧力はかかり続けるでしょうから。

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医療年金問題の考え方―再分配政策の政治経済学〈3〉 Book 医療年金問題の考え方―再分配政策の政治経済学〈3〉

著者:権丈 善一
販売元:慶應義塾大学出版会
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すみません、この本の受け売りです...

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財政状況厳しい折、医療費は増やせない...のか?

医療の充実は財政的にこれ以上不可能で、むしろ高齢者医療の増大で充実どころか後退するんじゃないか

新小児科医のつぶやき - とある質問

天国へのビザ 病院を壊すのは誰だー文藝春秋10月号

門外漢ながら、いくつか思うところを述べたいと思います。

まず、”財政”の意味ですが、これは、「新小児科医のつぶやき」コメント欄でも指摘されていますが、国費負担・公費負担よりも、本質的には、健康保険財政の問題ではないでしょうか。

1) 皆保険といっても、保険者が3,500程度に分立していて、被保険者集団が細かく分かれている。財政にもかなり格差があり、財政的に脆弱な保険者、つまり、低所得・高リスクの被保険者集団を抱える保険者に対し、保険者間での財政調整、国費・公費による補填が行なわれている。

2) 保険料が逆進的であること。被用者保険では、所得のレベルとは無関係に同じ割合で保険料が徴収され、所得が一定レベル以上になれば定額。国保では、保険料の半分は所得・資産によるが、残り半分は所得レベルとは無関係の定額で、被扶養者がある場合は、人数分の負担。

もう一点は、”財政状況が厳しい”といっても、日本の租税・社会保障費の国民負担率(国民所得比)は、先進国中アメリカに次ぐ低さであることです。財務省資料の孫引きですが、日本・2006年度予算、諸外国・2004年実績での比較ですと、以下のとおりです。

スウェーデン:70.9%
フランス:      60.9%
ドイツ:         53.3%
イギリス:      47.0%
日本:          37.7%
アメリカ:      31.8%

結局のところ、これは、国民が医療に必要な費用を負担するつもりがあるのか、価値判断の問題ではあるのでしょう。ただ、国民が医療を必要とするのなら、皆保険の下、社会保険料で負担するのが、最も”お得な”選択肢であることは、多くの専門家が指摘しているところです。

参考:

日本の医療―統制とバランス感覚 (中公新書) Book 日本の医療―統制とバランス感覚 (中公新書)

著者:池上 直己,J.C. キャンベル
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ベーシック 医療問題 (日経文庫) Book ベーシック 医療問題 (日経文庫)

著者:池上 直己
販売元:日本経済新聞社
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経済データの読み方 (岩波新書) Book 経済データの読み方 (岩波新書)

著者:鈴木 正俊
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2007年9月12日 (水)

「システム障害と闘う」

本日の日経新聞に、「企業とIT システム障害と闘う 上」という記事が掲載されていました。

冒頭で、全日空のシステム障害が取り上げられています。

・・・
百三十便が欠航になり、七万人を足止めにした五月二十七日の大規模障害の”犯人”は通信機器に内蔵されたたった一個のメモリー部品の故障。ごく一部が狂うだけで全体に大きな影響が及ぶ「ガラス細工」のようなIT(情報技術)システムのもろさが露呈した。
・・・
実はメモリー部品の故障の予兆を担当者らは障害発生の前日につかんでいた。にもかかわらず対応を先送り。実際に障害が起きた時も別のシステムが原因と勘違いし四時間強を無駄にした。ガラス細工と隅々に目を凝らし、問題に適切に対処できる人材をどう育てるか。長期戦は必死だが「コストはかかってもやりぬく」(広報・総務担当の長瀬真専務)覚悟だ。
・・・

「企業とIT システム障害と闘う 上」, 日本経済新聞,2007年9月12日, 13面

ネットワークのスイッチ等の通信機器を原因とするシステム障害というのは、原因の特定が遅れて長時間に及び、大規模なものとなる傾向があるように思います。全日空のシステム障害の原因となったのは、シスコ製のスイッチだそうです。こうしたアプライアンス(ハード・ソフト一体で販売)型の機器は、”ハード”として扱われ、運用保守もメーカーにお任せになっていたりして、ユーザからは盲点になりがちなのかもしれません。

・・・
スイッチは米シスコ製でNECが納入、ICSは日本ユニシスが開発と機器納入、ATCPは東芝グループが開発と機器納入、をそれぞれ担当した。もっとも「トータルとしてANAサイドの判断が遅かった。どこのメーカーが悪いと言及もしていない」(同)と語り、ANA側に一定の責任があることを認めている。ネットワークの設計や構築はANAのグループ会社が行っている。
・・・

【会見詳報】ANA障害の原因判明、「世界4例のスイッチ故障がきっかけ、対応も遅れた」:ITpro

オープン系のシステムというのは、多くの異なるベンダーによって、機器が提供されるがゆえに、競争原理が働き、価格が安くなっているわけですが。反面、システムに関わるベンダーの数は、大規模なシステムでは、相当なものになります。システム障害の際には、ユーザは自身の手で障害の原因を突き止めなければ、担当のベンダーがどこなのかもわからない、ということになります。

・・・
システムが大規模化し複雑になるにつれ「落とし穴」の数も増えたが、それを管理する人の体制が追いつかない。NTT東西の五月二十三日の障害ではサーバーのハードディスク交換の際に大文字で書くべきコマンドを小文字で書くという人為ミスが原因になった。
・・・

「企業とIT システム障害と闘う 上」, 日本経済新聞,2007年9月12日, 13面

細かいところですが、ここは、「小文字とすべきを大文字」じゃないのかな。。。

・・・
間違えたのは、「コマンドの引数」(NTT-ME ネットワークビジネス事業本部ネットワークソリューション事業部IPソリューション部門担当部長の黒田敦氏)。本来、小文字とするところを大文字にしてしまったのである。そのシステムを提供するベンダーから「大文字を使うと重大な問題が発生する」という連絡は届いていたが、現場の担当者まで伝わっていなかった。
・・・

NTT東のフレッツ・トラブル,「ルート再計算により・・・」の真相:ITpro

*nix系OSの、ある種のコマンドでは、小文字・大文字の別で意味が逆になる、というルールが使われていたりしますが。それに倣ったものなのかもしれませんね。

・・・
連絡不徹底など反省すべきことであるが、大文字/小文字を間違えただけで大きな問題につながるとは、そのシステム自体も問題である。そのような“怖い”コマンドは入力できないようにするのがシステム側の役割であろう。
・・・

NTT東のフレッツ・トラブル,「ルート再計算により・・・」の真相:ITpro

ごもっとも。しかし、OSやファームウエアなどの”低レベル”なソフトウエアでは、「そのような“怖い”コマンド」が結構あるんですよね。サーバのファイルシステムを破壊してしまった人を見たことがあります(lnコマンドの引数を逆にしたのですが)。自分でも、コマンド操作は結構日常業務でやるんですが、深刻な”ミス”を自分でやったことは今のところないんですよね。我ながら不思議な感じがしています。

・・・
工場で働く一人一人に品質管理への強い意識を持たせることで世界最強の工場を育ててきた日本企業。ITを競争力の源泉に育てるには同様の知恵と努力が欠かせない。
・・・

「企業とIT システム障害と闘う 上」, 日本経済新聞,2007年9月12日, 13面

ややおざなりな感じのまとめ方ですけども。ユーザサイドとしては、運用体制の強化を考えるしかないのかもしれません。私は、”「ガラス細工」のようなITシステム”であることが真の問題であって、それを、運用側の努力でカバーするのも限界があるかな、と思います。

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