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2007年9月14日 (金)

財政状況厳しい折、医療費は増やせない...のか?

医療の充実は財政的にこれ以上不可能で、むしろ高齢者医療の増大で充実どころか後退するんじゃないか

新小児科医のつぶやき - とある質問

天国へのビザ 病院を壊すのは誰だー文藝春秋10月号

門外漢ながら、いくつか思うところを述べたいと思います。

まず、”財政”の意味ですが、これは、「新小児科医のつぶやき」コメント欄でも指摘されていますが、国費負担・公費負担よりも、本質的には、健康保険財政の問題ではないでしょうか。

1) 皆保険といっても、保険者が3,500程度に分立していて、被保険者集団が細かく分かれている。財政にもかなり格差があり、財政的に脆弱な保険者、つまり、低所得・高リスクの被保険者集団を抱える保険者に対し、保険者間での財政調整、国費・公費による補填が行なわれている。

2) 保険料が逆進的であること。被用者保険では、所得のレベルとは無関係に同じ割合で保険料が徴収され、所得が一定レベル以上になれば定額。国保では、保険料の半分は所得・資産によるが、残り半分は所得レベルとは無関係の定額で、被扶養者がある場合は、人数分の負担。

もう一点は、”財政状況が厳しい”といっても、日本の租税・社会保障費の国民負担率(国民所得比)は、先進国中アメリカに次ぐ低さであることです。財務省資料の孫引きですが、日本・2006年度予算、諸外国・2004年実績での比較ですと、以下のとおりです。

スウェーデン:70.9%
フランス:      60.9%
ドイツ:         53.3%
イギリス:      47.0%
日本:          37.7%
アメリカ:      31.8%

結局のところ、これは、国民が医療に必要な費用を負担するつもりがあるのか、価値判断の問題ではあるのでしょう。ただ、国民が医療を必要とするのなら、皆保険の下、社会保険料で負担するのが、最も”お得な”選択肢であることは、多くの専門家が指摘しているところです。

参考:

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コメント

はじめまして。
TBありがとうございました。
私も医療経済の勉強しなくっちゃ・・・

投稿: 春野ことり | 2007年9月14日 (金) 12時43分

春野ことり さん、コメントありがとうございます。
いつも楽しみにさせていただいております。
今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: ron | 2007年9月14日 (金) 21時04分

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