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2007年9月17日 (月)

公正とは何か

 ある時、夕食の席で一緒になった女性が、金持ちの払う税金が少なすぎるのは不公正だと熱心に弁じたてた。彼女がどんな意味で「公正」という言葉を使っているかわからなかったので、こんなふうに訊ねてみた。ジャックとジルが共同の水道を同じ量だけ使っているとしよう。ジャックの所得は1万ドルで税率10パーセント、つまり水道の維持費として1000ドルを支払っている。ジルの方は所得が10万ドルで税率は5パーセント、水道の維持費として5000ドルを支払っている。では、この税制はどちらにとって不公正なのだろうか?

 彼女は、今までそんなことを考えたことがないから、どう考えていいかわからない、と率直に言った。私は彼女とは違って、これまでさんざん「そんなことを考え」てきたのだが、今もってどう答えたらよいのか確信を持てない。

スティーブン・ランズバーグ著, 佐和隆光監訳, 吉田利子訳, 「ランチタイムの経済学」, 日本経済新聞社, 2004, p.86

”健康で文化的な最低限度の生活”を営むには、どれだけの可処分所得(手取り収入)の額が必要か、という価値判断で考えてみます。

例えば国民負担が定率で50%とします。

年収300万円の人 : 負担150万円, 手取り150万円
年収1000万円の人: 負担500万円, 手取り500万円

さて、手取り150万円(月額12.5万円)で、”健康で文化的な最低限度の生活”を営むことは可能でしょうか?

さらに国民負担が定率で70%とします。

年収300万円の人 : 負担210万円, 手取り90万円
年収1000万円の人: 負担700万円, 手取り300万円

手取り90万円(月額7.5万円)までいくと、さすがに無理ですかね?

とりあえずは、手取り150万円を、”健康で文化的な最低限度の生活”を営むのに、必要な額とします。しかし、公共サービスを維持するためには、上の二人で国民負担910万円がどうしても必要であるとします。

そうすると、年収300万円の人は50%以上の負担はできないわけですから、年収1000万円の人に負担していただく他ありません。

年収300万円の人 : 負担150万円, 手取り150万円
年収1000万円の人: 負担760万円, 手取り240万円

年収300万円の人の税率は50%、年収1000万円の人の税率は76%となってしまいましたね。

極端な例ではありますが。定率の税より累進税率の方が国民負担率を引き上げやすい、ということは言えるのではないでしょうか。

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