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2007年10月27日 (土)

契約形態と開発手法との密結合

なるほど。そういう視点もありましたか。外部設計書ガイドライン に関して。

進行基準ではプロジェクトの進捗状況に合わせて売上を計上するが、その進捗状況はコストで測る。従って、事前に原価総額を正確に見積もれなければならない。外部設計が確定していないと正確な原価総額なんか出せないから、要件定義や外部設計をいい加減にやっていると、システム開発の売上計上ができないなんていう事態にもなりかねない。

これからは仕様を確定させてからでないとシステム開発は不可能です:東葛人的視点:ITpro

つまり、外部設計書について、”業界標準”を作ろうという動きは、進行基準会計を見据えての動きであるという見方です。

しかし、これで、ウォーターフォール型の開発プロセスと、企業会計が密に結合することになりそうですね。別にこれで、アジャイル開発手法を採用できなくなる、というわけではないでしょうけど。開発プロセスと会計が密接に関係するようになりますから、開発プロセスを変更するということは、SIerの企業会計を変更することにつながり、開発プロセスを変えるのは、ますます難しくなりそうです。

しかし、仕様を確定させてからシステム開発へ、というのが、仮に可能だとしても、契約プロセスの問題は残るでしょうね。

ユーザーが求めたテストの中身は平行本番稼働や、他社システムとの包括的な連携テストなど。システム間のインタフェース周りだけではなく、連携先企業も含めたビジネスサイクルを動かすテストが必要とユーザー側が判断した。TISはこの大がかりなシステムテストを当初の予定にない仕様変更と捉えたが、ユーザー側はTISと結んだ一括請負契約の範囲内と判断。追加テストに必要なコストの負担を断ったという。

TIS、大型案件の開発遅れで業績予想を再度大幅下方修正へ:ITpro

日本のあいまいな契約慣習ですと、仕様を最初は小さめに言っておいて、後から膨らます、というやり口で、ユーザが開発費を安くあげようとすることを防ぐのは難しいでしょうね。

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コメント

企業会計から見ますと、進行基準の適用上、原価が事前に「正確に確定」している必要はありません。実際、以前から進行基準が適用されている建設業でも、原価が事前に「正確に確定」していることは例外であり、多くは工事が進むにつれ、仕様・設計の変更等による追加原価の発生、見積と実際の差から生じる原価の増減が、かなりの規模で起こります。また、それに伴い請負契約の修正が為され、請負金の額が増減する事も多々あります。
従って、進行基準の適用上、必要な事は原価が事前に「正確に確定」していることではなく、仕様・設計の変更等による原価の増減を即時に把握・反映させると共に、工事の進行に伴い、より実際に近いほうへ見積を適時に修正していくと言う仕組みです。スタートの原価は、企業会計上、その時点の情報が集約されていれば良く、かなり適当でも問題ありません。絶対に必要なのは、適時に修正する仕組みなのです。ウォーターフォール型開発プロセスでもアジャイル開発手法でも、契約の時点で顧客に対して示した見積とその根拠は存在するわけであり、どちらも進行基準の適用上は無差別です。

投稿: 会計士 | 2007年12月31日 (月) 09時29分

会計士 さん、ご教示ありがとうございます。

進行基準でも、事前に原価を確定させておく必要はなく、原価の変動を適宜反映させれば問題ない、ということですか。

とはいえ、見積もり額(請負額)を開発途中で変える、というのは、実際問題としては難しいと思います。初期の見積もりは、事実上”ベースライン”になってしまいます。プロジェクト進行上、一度赤字になったら、回復させるのは困難でしょうね。

投稿: ron | 2008年1月 2日 (水) 19時08分

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