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2007年12月19日 (水)

診療報酬改定と医療経営の不思議

日経新聞の診療報酬『本体部分』引き上げ( 全体では下げ )の記事ですけど、かなり作為的ですね。

 政府・与党は十七日、来年度予算で医師の技術料である診療報酬の「本体部分」を〇・三八%引き上げると決めた。・・・

【略】

本体部分を引き上げる一方、薬価は一・二%引き下げるため、 診療報酬全体では〇・八二%の引き下げとなる。

政府・与党は、中小企業の社員が加入する政府管掌健康保険(政管健保)の国庫負担を大企業の健康保険組合などに肩代わりさせることで財源を手当てする。 医師の収入増の財源をサラリーマンらが事実上負担する。

『診療報酬0.38%上げ』, 日本経済新聞, 2007年12月18日朝刊1面

政管健保の国庫負担肩代わりに対する、大企業の恨み節といった感があります。

ちなみにいままでの診療報酬改定率は以下のとおり。

2002年 マイナス2.7%
2004年 0%
2006年 マイナス3.16%

2002年の診療報酬改定の報道に接したときには、こんな簡単に価格を引き下げて大丈夫なのか、と思いました。当時は、”医療崩壊”という言葉も知らなかったわけですが。医療機関は、この値段でやっていけるのかどうか、ということは考えていました。誰でも考えてみると不思議に思うのではないかと思います。

当時思ったのは、日本の”商習慣”からして、技術料は大した値段ではなく、間違いなく赤字だろうと。まあ、これは、窓口で払う診察料の三割負担やら、勤務先の健保から来るレセプト請求の内容(確認するよう求められる)から、想像のつくことではあります。

例えば、旧来のメーカーなんかのやり方ですと、製品本体の価格に、据付費、保守費などの技術サービス料分を、あらかじめ上乗せしておいて、技術サービス自体は、無料か採算度外視の値段で提供、という形であったかと思います。それで、国産メーカーの製品というのは、妙に値段が高かったりしたわけでして。

モノを売って、技術料は”サービス”、というのが、よくあるパターンなんですよね。もちろん、本当にこのとおりですと、利益なんて出せませんので、どこかしらでその分を取り返すようになっているわけです。

医療の場合ですと、”検査漬け・薬漬け”という、昔から言われていた話がありますね。これは、技術料だけじゃやっていけないから、検査機器やら薬やら、現物のあるもので、技術料の赤字を取り返す、という構図になっていたんじゃないかと。そのような風に漠然と考えていました。とはいえ、検査やら薬価差益やらで、医療機関がそんなに儲かるとも思えませんでしたけど。

むしろ、技術料分を引き上げることで、医療機関が、種々の”モノ売り”から脱することができるようにすべきではないか、なんてことを考えていました。

まあ、その後、結局、医療機関はやっていけてない、ということがわかったわけですけどね。

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2007年12月14日 (金)

Windows で Emacs Muse を試してみる

Emacs Muse。Windows版 GNU Emacs 22.1 で試してみました。

Emacs Muse is an authoring and publishing environment for Emacs. It simplifies the process of writings documents and publishing them to various output formats. Muse uses a very simple Wiki-like format as input.

こういうシステムって何て言えばいいんでしょうかね。MarkdownやWikiのような記法で書いたテキストを、HTMLその他で出力できるシステムです。

インストール

以下を参考にさせていただきました。

emacs-muse のインストールと設定

MuseのREADMEによりますと。

Run `make' as a normal user, if you haven't done so already.

Run `make install' as the root user if you have chosen installation locations that require this.

とありまして、makeを使ってインストールするようになっています。おそらく、Makefileの中身はファイルのコピーと、Emacsを使ったelispのバイト・コンパイルなのでしょう。私はCygwinを使って、実行しました。Makefile.defsというファイルにインストール先等の情報を、以下のように入力して、”make"、"make install"を実行します。

Makefile.defs

EMACS    = /cygdrive/c/emacs-22.1/bin/emacs.exe
SITEFLAG = --no-site-file
PREFIX   = /cygdrive/c/emacs-22.1
ELISPDIR = $(PREFIX)/site-lisp/muse
INFODIR  = $(PREFIX)/info

EMACS に、Emacsの実行ファイルをフルパスで指定。PREFIXには、Museの各種ファイルコピー先のルートとなるディレクトリをフルパスで指定します。

設定(.emacs)

以下、 .emacsファイルの設定です。

.emacs

(add-to-list 'load-path "c:/emacs-22.1/site-lisp/muse")

(require 'muse-mode)     ; load authoring mode
(require 'muse-html)     ; load publishing styles I use
(require 'muse-latex)
(require 'muse-texinfo)
(require 'muse-docbook)

(require 'muse-project; publish files in projects
(require 'muse-wiki)

(setq muse-html-encoding-default 'japanese-shift-jis-unix)
(setq muse-html-charset-default "shift_jis")

(setq
muse-mode-hook
'(lambda ()
    (setq coding-system-for-write 'japanese-shift-jis-unix)
    (setq coding-system-for-read 'japanese-shift-jis-unix)))

どうも、MuseはCRLFを改行と認識してくれないようです。それで改行をLFにしました。

htmlize.el のインストール

私が一番試してみたかったのが、”ソースコードの色づけ”機能だったのですが。これは、Museの機能ではなく、htmlize というelispの機能だったようで。

If you have htmlize.el version 1.34 or later installed, you can publish colorized HTML for source code in any major mode that Emacs supports by using the <src> tag.  If not publishing to HTML, the text between the tags will be treated like an <example> tag.

 Muse Quick Start

以下から、  htmlize.el を入手しました。

[http://fly.srk.fer.hr/~hniksic/emacs/htmlize.el]

.emacs

(add-to-list 'load-path "c:/path/to/htmlize")
(require 'htmlize)

試してみる

というわけで、このエントリを、Museを使って書いてみました。改行コードと文字コードで、少しハマりましたが、何とかうまくいったようです。各所で引用したソースコードには、ちゃんと色づけがされていると思います。プロジェクトとか、他の機能はまだ試していませんが、その辺はおいおいやってみようかと思っています。

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2007年12月 6日 (木)

日本の相対的貧困率

週間東洋経済 2007/12/8号より。

本当は、Appleの特集『iはだからスゴイ!』がお目当てだったのですけど(巨大EMSの部分が面白かったです)。

第二特集の『覆い隠される貧困』というのが、なかなかショッキングな記事でした。その記事から、OECDの相対的貧困率のランキングを引用させてもらいます。

・・・

- OECD(経済協力開発機構)加盟国の貧困に関する統計 -

国名 相対的
貧困率
(全人口)
(%)
子ども
のいる
世帯の
貧困率
(%)
子ども
のいる
一人親
世帯の
貧困率
(%)
高齢者の
貧困率
(%)
メキシコ 2002 20.3 24.8 35.0 28.4
米国 2000 17.0 21.7 48.9 24.6
トルコ 2002 15.9 21.1 57.7 16.4
日本 2000 15.3 14.3 57.3 21.1
イタリア 2000 12.9 15.7 24.9 15.3
英国 2000 11.4 16.2 40.7 14.4
オーストラリア 1999 11.2 11.6 38.4 23.6
カナダ 2000 10.3 13.6 42.1 4.3
ドイツ 2001 9.8 12.8 31.4 8.5
フランス 2000 7.0 7.3 26.6 10.5
オランダ 2000 6.0 9.0 30.3 1.6
スウェーデン 2000 5.3 3.6 9.3 7.8
OECD平均   10.2 12.1 32.5 13.3

(注)相対的貧困とは、個々人の世帯所得が当該国の平均可処分所得の半分未満の場合を指す。子どもは18歳未満、高齢者は65歳以上を指す。

(出所)OECD SOCIAL INDICATORS 2005(邦訳は「図表でみる世界の社会問題」明石書店刊)

・・・

落ち着いて考えてみれば、日本が米国とドイツ・フランス等のヨーロッパ諸国の間にあるのは、妥当なところなのでしょう。政府の規模と相関している感じはありますからね。

しかし、ワーキング・プアをはじめ、こうした貧困問題というのは、東洋経済という雑誌の看板になりつつありますねえ。経済誌としては異色なのか、以前からこんな風だったのか、私にはわかりませんが。

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2007年12月 4日 (火)

”初音ミク”にみる技術の売り方

なんてことは、とっくに、どなたかが書いていらっしゃるのでしょうけど。

バーチャル・シンガー『初音ミク』は、声優「藤田 咲」さんが演じるポップでキュートなキャラクター・ボイスを元に作り上げられた、ボーカル・アンドロイド=VOCALOID(ボーカロイド)です。

『初音ミク』の歌声は、80年代から最新まで多彩なアイドル・ポップスを中心に、さまざまなポップ・ソング~バラード・ソングを歌い上げ、またキュートな声によるアニメソングなども得意としています。彼女の声質はとてもチャーミングで、伸びやかに天まで昇るような高音域、清楚で可憐な中高音域がとても魅力的。まるで可愛らしいアイドル歌手を、自宅スタジオでプロデュースしているかのような感覚を味わえるでしょう。

キャラクター・ボーカル・シリーズ01 初音ミク HATSUNE MIKU

現代的な技術の売り方だなあ、と思いまして。このソフト、”音声合成ソフトウエア”だとか、あるいは、”ボーカル・シンセサイザー”だとか、呼ぶものだと思うのですが。

VOCALOIDというのは、この技術をもつ、YAMAHAの製品名のようですけど、その説明は以下のような感じです。

VOCALOIDは、コンピュータ上で歌声のパートの旋律と歌詞を入力すれば、そのまま楽曲のヴォーカルパートを制作することができる歌声合成ソフトウェアです。実際の人の歌声から収録したデータベースである「歌声ライブラリ」を用いて合成を行うため、元の歌声の性質が残り、リアルな歌声の合成音を得ることができます。また、簡単な操作で歌声に必要な表情付け(ビブラート、ピッチベンド)を行うことも可能です。このためVOCALOID では、この歌声ライブラリを充実させることによりさまざまな声質を使った楽曲の制作が可能になります。対応言語は日本語と英語です。対応 OS は、Windows2000/XP です。

YAMAHA VOCALOIDについて

まあ、よくある”機能の説明”ですよね。これだけですと、具体的にこの技術で何ができる、というイメージが沸きにくいのではないかと思います。そこで、キャラクター設定を行なうことで、ユーザに使い方を具体的にイメージさせるあたりが、この製品の”おもてなし”(user experience)なのかなあ、と思いました。

また、今回はきちんとキャラクター設定を行いました。なぜかというと、自由は不自由だと考えているからです。

 人間というのはある程度の制限を設けてあげないと、そこで何をしたらいいのか分からないと思うんです。例えば、砂漠に置き去りにされて「好きなところに行っていいよ」と言われるようなイメージです。目印がなければ、どこに行ったらいいか分からないですよね。

創業社長が明かす、仮想歌手「初音ミク」にかける想い:インタビュー - CNET Japan

AppleのiPod・iPhone、任天堂のWii、あるいはGoogleなどに通じるものがある感じがします。単機能にフォーカスするところ、具体的な使い方をイメージさせる売り方、といったあたり。これからは、技術の売り方というのは、こういう方向なのかなあ、などと色々考えてしまいました。

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2007年12月 3日 (月)

Googleのソースコード管理システム

--- Googleは非常に合理的なエンジニアリングを行っているという印象が強いのですが・・・・・・ソースコードの管理については、PERFORCEというソースコード管理システムを用いて、全社で1つのリポジトリを共有しているんですよね。

鵜飼- そのとおりです。

『Special Interview Googleの開発現場』, システム開発 JOURNAL Vol.1, 毎日コミュニケーションズ, 2007/11/29, p.130

ということで、Googleが使っている、SCM(=VCS?)は以下の製品みたいです。

Perforce Software - The Fast Software Configuration Management System

Linus Torvalds が Subversion を滅茶苦茶にけなしているらしい、以下のエントリより。

大規模プロジェクトが多そうな、Google や MS はどういうVCSを使っているのかな?教えて中の人(もしくは知っている人)

Subversion - ひげぽん OSとか作っちゃうかMona-

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2007年12月 1日 (土)

混合診療の論理

”混合診療”の意味するところは、保険診療と保険外診療を併用して受けた際、保険診療の部分について、保険給付(患者・医療機関からみると請求)するもの、とします。混合診療に相当する診療を、全額自己負担で受けることは、当然現在でも認められているものと思います。

現在の制度は、混合診療は原則禁止で、例外がいくつか認められている、という状態のようです。”混合診療は一つのルールを作って、そして一定の範囲内で認めていく”というのが政府・厚生労働省の見解。

保険診療と保険外診療の取扱い

高度先進医療

医療技術の進歩に迅速に対応するため、保険導入されていない新しい高度な医療技術のうち、一定の安全性や有効性等が認められたものについて、基礎的な部分を特定療養費として保険給付する制度

選定療養

患者の選択に委ねることが適当なサービスについて、患者が自ら選択して費用を負担することにより、追加的なサービスの提供を認める制度

『いわゆる「混合診療」解禁問題について』, 第11回社会保障審議会医療保険部会配付資料, H16.11.30

規制改革会議が主張する、混合診療の解禁というのは、”全面解禁”とのことです。

規制改革・民間開放推進会議の主張
(平成16年8月3日「中間とりまとめ」)

いわゆる「混合診療」(保険診療と保険外診療の併用)の解禁

適切な情報に基づいて、患者自らが選択する場合には、「患者本位の医療」を実現する観点から、通常の保険内診療分の保険による費用負担を認める、いわゆる「混合診療」を全面解禁すべきである。

同上

結局のところ、昨今の混合診療を巡る論争というのは、政府が、保険給付の範囲を規制すべきか否か、という点であるように思います。私は、政府による一定のコントロールがあるのが望ましい、と考えます。

理由は、まあ、ただで手に入るものはない、という、単純な庶民感覚によるのですけど、以下のとおり。

  1. 混合診療を全面解禁したからといって、金がどこかから沸いてくるわけではない。保険財政の規模は、現状のまま。
  2. 混合診療全面解禁によって、現状より保険給付を増やせば、保険財政にはマイナスとして働く。
  3. マイナスとなった分は、当然帳尻を合わせる必要があるから、この分は現状の保険診療の範囲を縮小して合わせることになるであろう。

つまり、ゼロサムゲームなんですよね。少なくとも、マーケティングの巧拙によって、このゲームの”勝者”が決まるような事態はあまり望ましくないと思います。

やはり、今の制度で、必要であるなら保険給付を行なうようにしていくのが、望ましいでしょう。ある部分について、保険給付を増やすなら、それは、保険財政の収入を増やす(つまり国民負担増)か、あるいは、トレードオフしかないでしょう。

参考:
元検弁護士のつぶやき: 「混合診療」禁止は違法(東京地裁判決)

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