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2007年12月 1日 (土)

混合診療の論理

”混合診療”の意味するところは、保険診療と保険外診療を併用して受けた際、保険診療の部分について、保険給付(患者・医療機関からみると請求)するもの、とします。混合診療に相当する診療を、全額自己負担で受けることは、当然現在でも認められているものと思います。

現在の制度は、混合診療は原則禁止で、例外がいくつか認められている、という状態のようです。”混合診療は一つのルールを作って、そして一定の範囲内で認めていく”というのが政府・厚生労働省の見解。

保険診療と保険外診療の取扱い

高度先進医療

医療技術の進歩に迅速に対応するため、保険導入されていない新しい高度な医療技術のうち、一定の安全性や有効性等が認められたものについて、基礎的な部分を特定療養費として保険給付する制度

選定療養

患者の選択に委ねることが適当なサービスについて、患者が自ら選択して費用を負担することにより、追加的なサービスの提供を認める制度

『いわゆる「混合診療」解禁問題について』, 第11回社会保障審議会医療保険部会配付資料, H16.11.30

規制改革会議が主張する、混合診療の解禁というのは、”全面解禁”とのことです。

規制改革・民間開放推進会議の主張
(平成16年8月3日「中間とりまとめ」)

いわゆる「混合診療」(保険診療と保険外診療の併用)の解禁

適切な情報に基づいて、患者自らが選択する場合には、「患者本位の医療」を実現する観点から、通常の保険内診療分の保険による費用負担を認める、いわゆる「混合診療」を全面解禁すべきである。

同上

結局のところ、昨今の混合診療を巡る論争というのは、政府が、保険給付の範囲を規制すべきか否か、という点であるように思います。私は、政府による一定のコントロールがあるのが望ましい、と考えます。

理由は、まあ、ただで手に入るものはない、という、単純な庶民感覚によるのですけど、以下のとおり。

  1. 混合診療を全面解禁したからといって、金がどこかから沸いてくるわけではない。保険財政の規模は、現状のまま。
  2. 混合診療全面解禁によって、現状より保険給付を増やせば、保険財政にはマイナスとして働く。
  3. マイナスとなった分は、当然帳尻を合わせる必要があるから、この分は現状の保険診療の範囲を縮小して合わせることになるであろう。

つまり、ゼロサムゲームなんですよね。少なくとも、マーケティングの巧拙によって、このゲームの”勝者”が決まるような事態はあまり望ましくないと思います。

やはり、今の制度で、必要であるなら保険給付を行なうようにしていくのが、望ましいでしょう。ある部分について、保険給付を増やすなら、それは、保険財政の収入を増やす(つまり国民負担増)か、あるいは、トレードオフしかないでしょう。

参考:
元検弁護士のつぶやき: 「混合診療」禁止は違法(東京地裁判決)

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