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2008年2月10日 (日)

産業の保護育成

そもそも産業政策がいいとかいうけど、産業を「保護」して「育成」するという考え方自体、どこまで有効なのかもはっきりしない。だってさ、どの産業を保護すればいいのか、どうやってわかるのよ(えらきゃ日本の十年後の成長産業をいま当ててごらん。わかんないでしょ。でも産業保護育成って、それができなきゃ成立しないでしょう)。さらに保護されなきゃ成長できないような産業って、ほんとうに有望といえるの?

山形浩生著 『要するに』, 河出文庫, 2008, p.41

えっ、今後有望な産業は何かって? そんなこと官僚に聞かないでくださいよ(笑)。市場競争に勝ち残ったところがそうなるでしょう、としか。

「続・インド人がやった方が儲かることは、インド人にやらせればいいじゃん。」, bewaad institute@kasumigaseki

確かに、次の成長セクターがどこなのか、などということは、誰にも予想できないですよね。まあ、産業の成長に対して、政府ができることというのは、実際のところ、ほとんど何もないのでしょう。ただ、新たな産業が生まれて、それが成長する元といいますか、タネに政府が深く関わっているのも事実なんですよね。

例えば、現在一般に使われているコンピュータ。ノイマン型とか、プログラム内蔵方式とか呼ばれています。このコンピュータが、マンハッタン・プロジェクトの予算で開発されたというのは有名な話。原子爆弾を開発するのに、核分裂反応について大量の偏微分方程式を解く必要があり、この仕事をやらせるために、汎用計算機を開発するという、迂遠にして壮大な話でして。コンピュータが出来上がったときには、戦争はとっくに終わっていたし、原子爆弾はもちろんとうに完成していたという顛末です。

第二次世界大戦で生まれた技術が、戦後の成長産業の礎になったという説は、昔からあって、おそらく今でも有効なのだと思います。化学産業やエレクトロニクス産業、それにコンピュータ産業などが、例として挙がります。つまり、これらの産業の基礎になっている技術は、政府のカネで開発されたわけですよね。

インターネットも、もとは、冷戦下にアメリカの国防総省が開発した軍事ネットワークです。コンピュータ・ソフトウエアについても、アメリカ政府が、もっぱら軍事目的で莫大な投資をしてきたというのはあるでしょう。たしか、オペレーティング・システムも、冷戦下では、共産圏への輸出が規制されていたという話を聞いたことがあります。OSの技術開発にも、軍事予算が相当使われていたんじゃないですかね。

米ソの冷戦が終わって、NASAなどの軍事関係で働いていた技術者がリストラされて、ウォール街で雇用され、金融工学を駆使した金融商品が大量に開発されるようになった、という話もありましたか。

こう考えると、90年代以降のアメリカの成長産業というのは、冷戦下で政府が軍事目的に行なってきた膨大な投資が実を結んだといえるのではないでしょうか。

とはいえ、実際どの技術がどう役立つかなどということは、全く予想の外ではあります。いえるのは、アメリカが冷戦下に、アポロ計画だの、スターウォーズ計画だのと、壮大な計画を色々ぶち上げて、莫大なカネをばら撒いた、ということ。下手な鉄砲数打ちゃ当たるというのか、物量作戦というのか...

将来の産業について、何が有望か何が無駄かは誰にもわからないでしょうが。確実にいえるのは、何もしなければ何も生まれることはない、ということですかねえ。とにかく良さげなことを何でもいいからやってみる、というのもひとつのやり方だとは思います。

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