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2008年2月14日 (木)

オープンソースへの貢献と職務著作

Geekなぺーじ : オープンソースに貢献する日本人エンジニアが少ない理由 のコメント欄、

海外ではどうか知りませんが,「就職してから書いたプログラムは,たとえプライベートであっても著作権は会社にある」と,新入社員研修で言われました. プライベートで書いたアプリをフリーで公開したのがバレたら怒られるし,シェアウェアで公開したらすべて没収されます.  (ゆいゆい さん)

をみて、こういうのって法律上は何て呼ぶのかと疑問に思いまして。 特許での”職務発明”というのは、色々報道されていたこともあって、知っているのですが。著作権ではなんと呼ぶのか、調べてみました。

(職務上作成する著作物の著作者)

第十五条 法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。

2 法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。

著作権法

そのままですが、”職務著作”と呼ぶそうです。会社の従業員が書いたプログラムは、一定の要件が満たされる場合には、会社の著作物になるということです。その要件というのは、プログラムの場合には、著作権法第15条2項より、以下の4点となっているようです。

1. 法人等の発意に基づく
著作物を作成する意思が直接、または間接に法人等の判断による。
2. 法人等の業務に従事する者
雇用関係にある者、法人等の指揮監督下にある者。
3. 職務上作成するプログラム
直接命令されたものの他に、業務の過程において通常予期される範囲で作成したプログラム。
4. 契約、勤務規則その他に別段の定めがない
従業員の著作物とする旨の別段の定めがない場合に限られる。

要件4については、要件1, 2, 3のいずれかを満たさない場合は、『たとえ契約等に法人等を著作者とするとの特約があったとしても、法人等が著作者となることはできない』のだそうでして、従業員の著作物とする契約等がない場合に限定する趣旨であるようです(ややこしい...)。要件2は、雇用関係があるわけですから、当然該当するのでしょう。

そうすると、要件1と要件3に該当するかどうかですね。まあ、これだけ見ても、雲をつかむような抽象的な話でして。広く解せば、プログラム開発を業としている企業に勤めていれば、どんなプログラムを書いても該当しそうにも思えますし、狭く解せば、その企業が現に行なっているプログラム開発と直接には関係のない領域でのプログラムなら、該当しなさそうにも思えます。

業務用ソフトを開発している企業の従業員が、趣味でゲームのプログラムを書く場合とかは該当しないといえるのですかねえ。フレームワークだとか、ライブラリだとか、ミドルウエアのような、何でも使いまわしがききそうなプログラムはどうなのでしょうね。文字コードの変換処理みたいなものは、ほぼジャンルを問わずに使えるわけですが。

・・・

参考

宇宙開発事業団の職員が、人工衛星打ち上げやロケットに関係するコンピュータプログラムについて職務著作にあたるか否かを争った判例です。

知的所有権判例ニュース2006-3 コンピュータプログラムの作成が職務著作に該当すると認められた事例

裁判所 裁判例情報(判例検索システム) 知的財産裁判例 平成12(ワ)27552 平成17年12月12日 東京地方裁判所

以下のページ・書籍を参考にさせていただきました。

Scope::プログラムは職務著作?

コンピュータ・ソフトウェアと法人著作権について

知的財産法 第4版 (有斐閣アルマ)Book知的財産法 第4版 (有斐閣アルマ)

著者:角田 政芳,辰巳 直彦
販売元:有斐閣
Amazon.co.jpで詳細を確認する

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コメント

はじめまして。

本題とは異なるのですが、オープンソースと著作権の関係だと、オープンソース作者が自らのプログラムに対する著作権を主張した時も、世の中に与える影響が大きいように思います。

投稿: しま | 2008年2月15日 (金) 00時32分

しま さん、コメントありがとうございます。

そうですね。
一般にオープンソース・プログラムの作者は、著作権を放棄しているわけではないですし。そもそも”著作権を放棄する”ということが法律上可能なのかわかりませんが、著作権を企業等に譲渡するのは、成功したオープンソース・プログラムではありますね。

元のオープンソース・プログラムのソースコードを流用・改変して使用しているような場合、原著作権者の権利の及ぶ範囲を調べるだけで大ごとになりそうです。

ただ、多くの人間が開発に関わっている場合、権利者として意思を統一するのは容易なことではないでしょうから(誰がどのソースを書いたか不明な場合もありえますし)、それが安全弁となるようには思います。

投稿: ron | 2008年2月15日 (金) 02時41分

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