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2008年3月 4日 (火)

IT企業の教育費

インドのIT大手インフォシスの教育費は売上高の 5% に達するのだそうです。

興味を持ったのは、その教育費。なんと、売り上げの5%、200億円を投じている。この200億には、企業内大学のキャンパスの建築費などは含まないそうだ。  スリラムさんによると、「IT企業は結局人しかない、だから我々はこれに投資する他はない」

 おそらく日本のIT企業で、売り上げの5%という数字を教育にあてている企業は、そう多くないのではないだろうか。通常は1%、ないしは、ゼロケタ台というのも関の山だと思う。いかに、教育のために投資されている予算が少ないか、この数値である程度は推察できる。

企業内教育とお金(NAKAHARA-LAB.NET 東京大学 中原淳研究室 : 「大人の学び」を科学する)

確か、日本のIT企業の教育投資は、売上高のゼロ点何パーセントとかでしたね。

「先進のソリューションによる経営効率の改善」。このお題目が最も遅れている産業、それが情報サービス産業だ。事実、「JISA基本統計調査  2006」によると売上高情報化投資率は平均で0.79%、中央値で0.58%しかない。これに対して「国内IT投資動向調査報告書 2004」(ITR)によれば、国内平均の情報化投資率は平均1.9%(同報告書の『2006』では2.8%、『2007』では3.2%)で大きな開きがある。

 さらに、情報サービス産業の「売り上げ研究開発投資率」は平均1.02%、中央値0.01%。人材育成の要となる教育投資率は平均で0.38%だ。

あらためて衝撃 日本のソフト産業を統計分析する(@IT)

JISA(社団法人 情報サービス産業協会)基本統計調査 2007年版 概要 をみますと、売上高投資率は加重平均 0.37 %、中央値が 0.26% となっていますね。 5% 以上というのは、回答企業のなかではゼロ。1%未満が全体のほぼ 90% みたいですね。

売上高規模を見ると、平均値 209億46百万円、中央値 54億68百万円。確かに、売上高4000億のグローバル企業と、日本国内オンリーのローカル企業の差というのはありそう。しかし、日本国内だけの調査対象企業の売上高を合計すると約8兆円あるわけでして、”腐っても鯛”。中小企業の多い日本の産業の特性もありそうですね。

思うに、「日本ほど、教育に多くを期待しながら、そこにお金をかけない国は珍しい」。一言でいうと、「やい、教育、この問題何とかせい!、金は出さないけど、頑張れ」。そうした風潮は企業内教育であろうと、公教育であろうと、そう変わらない。

 たとえば、日本の教育への公財政支出は、年間国家予算の3.5%である。これは、OECD加盟国30ヵ国最下位(2003年)。  もっとも公財政支出の大きいアイスランド7.5%は別格にしても、フィンランド6.0%、米国5.4%、にも間をあけられ、スロバキア4.3%、チェコ4.3%、アイルランド4.1%、にも負けている。

 それなのに、教育に対する社会的期待は、日に日に増大するばかり。何か問題が起これば、「やれ教育は何をやっている」「やれ、教育のせいだ」という風に「教育」に原因帰属が行われる。「やい、教育、しゃんとせい、何とかしろ」ということになる。

教育への公的支出も先進国中最下位でしたか。

 アメリカでは、教育はどのくらい重要視されてるんだろうか? ああそうだ、財政のリストを見りゃいい − なるほど、だいぶ下の方の、労働安全衛生局と食肉検査の間か。俺たちの子供の面倒を毎日見てくれている人の収入は、平均年収で4万1351ドル。今日のディナーに連れてってくれるのはどこのタバコ会社のロビイストかなってことだけを気にしている下院議員は14万5100ドルももらってる。

【略】

だが何と言っても一番傑作な皮肉は何かというと、アメリカ人の教育に十分な財源を割くことを拒否した当の政治家たち本人が、アメリカの子供たちのデキの悪さにむかっ腹を立てたりしていることだ。ドイツや日本は言うに及ばず、まともな水道と経済力のある国の中でアメリカ以上に成績の悪い国なんてどこにもないってんで、突如として政治屋どもは説明責任を求め始めた。教師に責任を押しつけ、資格試験をしろなんて言い出したんだ。もちろん、子供たちにも試験をやれと − 何度も何度も何度もだ。

マイケル・ムーア著, 松田 和也 訳, 『アホでマヌケなアメリカ白人』, ゴマブックス, 2008年, p.152-157

”教育に対する社会的期待”に関しては、どの国でも同じようなものかもしれません。

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