« 順序関係を列挙する | トップページ | 順序関係列挙と事前条件 »

2008年3月23日 (日)

エンジニア「超」促成栽培

@IT の記事です。

あるとき、某メーカーが「社内向けの技術研修を実施したい」というので、中根さんは友人を伴って詳細を聞きにいった。その際、応対したのはメーカーの管理職者だったが、その要望は 「仕様が決められて、プロトコル設計ができて、信号をオシロスコープで見て理解ができて、ソフトウェアの設計ができて、ハードウェアも作れる人材を育てたいんです」 というとてつもないものだった...。

 中根さんたちはその時点で開いた口がふさがらないという感じだったが、一応どれぐらい時間をかけてそうした人材を育成しようと考えているのか尋ねてみた。すると今度は、 「現場にいる人間はそんなに時間が取れないので、できれば3・4日で」 という答えが返ってきたそうだ。

技術伝承の現状とモノづくり大国ニッポンの明日 (@IT)

知識だけなら2・3年あれば、何とか詰め込めるでしょうけど。技術となると、やはり 10年 は必要でしょうね。もちろん、専門分野はある程度狭める必要があり、ソフトウエアでもハードウエアでも、何でもできる技術者なんてのは、無理でしょう。ソフトウエア/ハードウエアというくくりでも大きすぎます。

かっては、職人を育てるには、 15歳以上ではもう遅く、7・8歳から仕込まないと使い物にならない、などといわれていたわけでして。今でも伝統工芸の世界では、中学卒の15歳から修行を始めるようですけども。人に技術を身につけさせるには、とてつもない時間がかかるということは、そうした世界では常識でしょう。

技術者の場合、職人ほどには手技は必要なく、どちらかといえば知識を使うのが主になりますから、職人と同じくらい長期にわたる修行が必要、というわけではないとは思います。とはいえ、1年やそこらで”促成栽培”できるようなものでもないでしょう。にもかかわらず、こうした”促成栽培”を本気で考える人間が後を絶たないですね。

”人手不足”になるのは、技術の変化が早すぎて、それに人の育成が全く追いついていないからですかね。ですから、技術者の”促成栽培”を夢想する人間は絶えることはないのでしょう。

技術者が不足するのには、社会構造の変化もあります。”脱工業化社会”なんて言われて久しいですけど。日本の産業構造が2次産業から3次産業へとシフトしていっているのは確かですから。”理科離れ”なんてのは、もっぱら”工業離れ”であって、若い人たちは、単によりよい仕事を求めているだけではないかと思うんですよね。技術者というのは、若い人たちにとって、”よりよい仕事”ではないのでしょう。古臭いイメージは否定できませんからね。

「日本人は、突飛(とっぴ)なものとか、すごく個性の強いものを生み出すのは苦手です。イタリアの車や家具のデザインなどを見ると、あれを日本人が思い付くのは難しいなと思います。しかし、まじめだから地味な仕事をコツコツやるのには向いています。それはアジア全体を見渡しても、日本人が一番だと思います。粘り強く、しつこく仕事ができる。知恵を出すこともできる。そうしたことを考え合わせると、日本はまだまだ組み込みの世界で強みを発揮し続けることができるのではないかと思いますね」(中根氏)。

日本は個性的な国であるし、日本人は個性的な発想をすると思いますけど。日本人には日本人の発想というのがあって、イタリア人と同じ発想は、当然しないでしょう。イタリア人と同じ発想をするのなら、それはイタリア人のまねであって、個性的とはいわないでしょうし。

今や日本も先進国になってしまいましたから、「まじめだから地味な仕事をコツコツやる」だけでは、難しいかな、と思います。今の日本人よりは、途上国の人間のほうが、そうした仕事に向いているでしょう。そうした特性は、人種・民族によるのではなく、社会の発展段階や産業構造によるのではないかと思います。

「そして」と中根さんはさらに付け加えた。 「日本人には農耕民族としてのDNAがあるから」 と。日本人は伝統的に米を作って生きてきた。米は1人では作れない。チームを組んでともに助け合い、それで長い工程を乗り切って確かな収穫を得る。中根さんによれば、ある一定のレベルのものを組織的に作るということに、これほど向いた国民はないのだそうだ。モノづくりができる、それもいいものが作れる人種や国民はほかにもあるが、個人主義やスタンドプレーに走りがちで、自らを押し殺して組織を優先させるという考え方が根付かないという。

「伝統的に米を作って生きてきた」のは、日本人に限らず、アジア諸国なら、だいたいはそうではないかと。ついでに申せば、日本人も一万年以上前、大陸から農耕が伝わるまでは、”狩猟採取民族”だったわけですが。また、ヨーロッパであっても、文明の基礎には農耕があるわけでして。どんな文明であっても、農耕は発展段階として存在すると思いますけどね。

|

« 順序関係を列挙する | トップページ | 順序関係列挙と事前条件 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/80472/11672502

この記事へのトラックバック一覧です: エンジニア「超」促成栽培:

« 順序関係を列挙する | トップページ | 順序関係列挙と事前条件 »