« ”自然が一番”とか | トップページ | 2つの科学 »

2008年5月 4日 (日)

アジャイルコントラクト、系列取引、競争入札

ICSEのセッションの1つで、agile contractsの例としてトヨタとサプライヤの良好な関係について語られていた。トヨタがbest contractorとして挙げられ、サプライヤとのwin-winの関係を築いていること、信頼を基本とした共通のゴールをサプライヤと作れているところ、契約を必要以上に細かく作りこんだり、責任を必要以上に細かく分類していくことは所詮ゲームに過ぎないということを認識しているところ、において優れていると述べられていた。スピーカはMary Poppendieck氏。

アジャイルコントラクト (森崎修司の「どうやってはかるの?」)

トヨタという会社は、日本の伝統的な系列取引から、最大限、利点を引き出しているのかもしれませんね。

私は、いまだ、競争入札というものが、うまく機能するものなのか、疑問に思っていまして。おそらく、ポイントは、”情報”なのでしょうね。発注側が案件について、完全に情報をコントロールできる立場にあれば、競争入札というのは、理想的に機能して、品質はそのままで価格低下という果実が得られるのでしょう。

しかしながら、現実はそうではないわけです。

やはり日本の顧客は特徴的で面白い。

・要求仕様があいまい

・業務分担があいまい

・契約があいまい

・パートナーといいながら、下請け

・発注主は殿様。下請け間でよきに計らえ

である。

日本企業はやっぱり違う (住みたいところに住める俺)

こうしたことを長く続けると何が起きるか? といいますと、発注主の”番頭”的な業者が出現するわけです。その業者は、発注主の様々な案件について、熟知しており、発注主が何もせずとも、案件を取り回せるような存在です。そして、発注主はすべてを”番頭”に委ね、自分では何もしなくなり、また、できなくなります。

こうした業者が、談合組織のリーダーになるまでの過程はだいたい想像ができるのではないですかね?

”番頭”以外の他の業者が、その発注主から案件を受託するとします。案件の仕様詳細等の情報は、発注主からは得ることができません。”番頭”からもらう必要があるわけです。しかし、"番頭”にしてみれば、他の業者に情報をくれてやる道理は何もないわけでして。実際、ライバルに好んで塩を送ったりはしないでしょう。ここで、ある種の”取引”が行なわれるわけですよ。

一方で業者間で競争せよといい、他方で業者間で協力せよというのは、もともと矛盾しているわけでして。競争を最重視するのならば、協力は諦めるしかないのでしょうね。

まあ、どのような契約形態を選ぶにせよ、発注主が情報をコンロトールできるようにしておくことは重要なことでしょう。件のトヨタにしても、”ブラックボックスを作らない”というのが信条であったかと思います。

|

« ”自然が一番”とか | トップページ | 2つの科学 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/80472/20767089

この記事へのトラックバック一覧です: アジャイルコントラクト、系列取引、競争入札:

« ”自然が一番”とか | トップページ | 2つの科学 »