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2008年5月27日 (火)

「保険」という言葉

”資金を預かって、これを運用して、保険金として返す”、”やがて自分たちに返ってくる保険料”というくだりで、少し引っかかってしまいました。

結論から述べてみよう。国が民間型の保険をやること自体が誤りなのである。1960年代、国民皆年金、国民皆保険ということで、福祉制度の充実のスローガンのもとに現在の制度がつくられたのだが、福祉制度の充実と保険制度の導入とが同じものと考えてしまったことに問題があったのだ。

福祉制度の充実は必要だし、国がそのために大きな役割を果たすことは必要である。しかし、国ができることは、税金を取って福祉にあてること、つまり、福祉サービスのメニューを充実して、そのための税金を取ることなのである。これは、広義の所得再分配であると考えられる。また、税金といっても、所得税や消費税のような一般財源ではなく、例えば、社会福祉税という名の特定財源でもいいわけである。

しかし国には民間のように保険料をとって、これを金融市場で運用する能力はない。つまり、個人から保険料という形で資金を預かって、これを運用して、保険金として返すことはできないのである。

【正論】早稲田大学教授・榊原英資 国は保険業務から撤退せよ (MSN産経ニュース)

ここまで仰る以上、榊原氏が責任を持って、あらゆる社会保障需要をことごとく賄うだけの税金をどこからか取り立ててきてくれるんでしょうね。

それがどれだけの税率になろうが、責任を持ってそれだけの税金を持ってこれると。

市民の皆様は、やがて自分たちに返ってくる保険料だという名目もなく、喜んで山のような税金を払ってくださると。

榊原英資氏の「正論」 (EU労働法政策雑記帳)

Wikipedia では、「保険」の頁には以下のように記述されています。

保険(ほけん 、英:insurance)とは、偶然に発生する事故(保険事故)によって生じる財産上の損失に備えて、多数の者が金銭(保険料)を出し合い、その資金によって事故が発生した者に金銭(保険金)を給付する制度。

"保険" (Wikipedia)

例えば、100人に1人がかかる病気があり、その治療に要する費用が100万円だとします。このリスクを100人でシェアすれば、1人あたりの拠出額は1万円となりますね。1万円の拠出で100万円のリスクに備えることができる、というのが保険の本質であろうと思うわけです。

契約者と保険会社の間に締結される保険契約において、保険金と保険料の間では以下の関係が満たされることが要請される。これを給付・反対給付均等の原則と呼ぶ。

P = ωZ

ここでPは保険料、ωは定量化された保険事故のリスク、Zは保険金を表す。この原則は、保険事故発生のリスクを媒介として保険金(給付)と保険料(反対給付)が等しくなるように要請されていることを示す。

"保険" (Wikipedia)

”自分達が支払った保険料が保険金として返ってくる”という言い方が、確率上の期待値のことを指しているとすれば、それはそのとおりなのかもしれませんが。普通は、リスクが顕在化して発生した損失に対する補填を受けるか、そうでなければ、ただ保険料を支払っただけで終わるわけですから、”返ってこない”のが当たり前のものであろうと思います。民間の損害保険の類は、基本的にそういったものですよね。

社会保険というのは、健康保険と年金とからなるのでしょうけど。

健康保険については、損害保険と基本的な考え方は同じでよかろうと思います。医療保険を国民全てが必要とするのであれば、個々の民間保険会社の被保険者集団でリスクをシェアするよりは、国民全員でリスクをシェアした方が効率が良いでしょう。老人、小児、妊産婦、持病のある人等の「高リスクな」人々が、保険に加入できなくなる、という事態を防ぐだとか、政府が保険者になることで、医療機関に対する価格交渉を有利に進められるだとか、他にも色々とメリットはあります。

年金は損害保険とは性格を異にしている感じですね。とはいえ、積立方式ではなく、賦課方式であるわけですから、もともと、預貯金でもなければ、投資信託のようなものでもないわけですよね。世代間扶助の仕組み、であるとしか私にはわかりません。いずれにせよ、賦課方式であるということは、何十年にも渡る超長期の経済リスクを考える必要もなければ、運用の巧拙を問う必要もない、ということでしょう。

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