« ソフトウエア工学は工学的になれるか | トップページ | 価格メカニズムによらない市場 »

2008年5月11日 (日)

SI産業の国際競争力とか

”国際競争力”という言葉は、経済学者のクルーグマン氏が、”空港経済学”と揶揄した、トンデモ経済学で使われている用語のようでして。確かに、何を意味しているのか、さっぱりわからなかったりします。私達の業界では、バズワード buzzword と呼んでいますね。

でね、思うわけさ、世界だ何だっていうけど、いや別に安けりゃいいってわけでもないんだろうけどさ、本気で我々が見積もった数字が一番安い上に提案の内容についても質が一番高かったってことはさ、そんなにいうほど世界は遠くないよね、と。日本でトップレベルになれば十分に世界でも通用するんじゃないのかな。少なくとも我々程度でさえここまでやれるんだから。

世界レベル (はぶにっき 2008-05-10)

日本でシステム開発を行なうのであれば、中国企業、インド企業、どこの国の企業でも、コスト面で大きな差が出るとは思えないんですよね。日本のSI企業というのは、日本市場に過剰適応しているわけですし、まあ、ホームグラウンドで負ける、ということはないんじゃないかと思うわけです。長年の価格競争で、価格も10年前ぐらいから考えると、半値以下くらいにはなっている感じですしね。

日本市場に過剰適応していることの良し悪し、というのはあるでしょうけど。グローバリズムという言葉も、かなり胡散臭いですし。”ガラパゴス鎖国”とかいっても、世界の富の90%を所有する1%の人口のなかで、世界第2位の規模をもつ経済が、”ガラパゴス”なんていえるのかなあ、と思うわけでして。まあ、国内で稼ぐこと自体は、良いとも悪いともいえないことなのでしょう。

”グローバルなベストプラクティス”(笑)が売り文句であった、ERPソフトにしても、欧州と米国では仕様が異なっているようですし、日本でももちろん、”現地仕様”があるのでしょうが。企業システムの場合は、”お国事情”からは逃れられないわけでして、そもそもグローバルたりえない市場のように思えますね。

SAPはドイツで創業した企業らしく、多言語、多通貨に対応したソフトだった為、ヨーロッパ企業を中心に使用され、その中で機能を磨かれた。そして、ヨーロッパに進出していたアメリカの多国籍企業も用いる様になり、創業者の一人がアメリカに駐在し、彼のリーダーシップでアメリカのSAPを現出させた。アメリカで不要の部分は、ばっさり削除。アメリカ人に使いやすい様に作り直したお陰で、アメリカのR/3は他国のR/3と、厳密に見れば、同じものではない(私が知っているのは1998年頃まで)。

日本は、ドイツからの進出で立ち上げたマーケットだったが、ちょっと米欧とは様相を異にした。ヨーロッパでは痒いところに手が届くソフトとして、またアメリカでは今までのソフト(SAPはレガシー・システムと呼んだ。遺産のシステムということで、不遜も甚だしい【笑】)を新世代のハードに対応させるのと較べて圧倒的なコスト・パフォーマンスで売った。しかし、日本では、幻想に過ぎない夢を欧米でのブランド力で販売し、その価格たるや、ライセンス料は欧米と大差なくとも、人件費が欧米に比し、べらぼうな高さだった。機能的に自国に合致していないのに、そのギャップをBPRの名の下に一方的にソフトの方に合わさせ、かつ価格は他国よりも高い。日本仕様の開発費用を賄おうとの意図があったのかも知れないが、多国籍企業として他国企業と競おうとしてR/3を導入した企業は、そのことだけでも他国企業に遅れをとった事を意味した。同じ製品をより高く買ってしまったのだから。

ワークスアプリケーションズとSAP【日本のERP業界】 〜その1〜 (黄色い豚、麗(レイ)豚 @日立柏酒場裏)

|

« ソフトウエア工学は工学的になれるか | トップページ | 価格メカニズムによらない市場 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/80472/20884690

この記事へのトラックバック一覧です: SI産業の国際競争力とか:

« ソフトウエア工学は工学的になれるか | トップページ | 価格メカニズムによらない市場 »