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2008年6月26日 (木)

後期高齢者医療制度の設立趣旨

正直、私もよく理解していないのですけどね。

何かと問題の多い後期高齢者医療制度ですが、そもそも老人保険料の現役世代の負担を減らすことが目的の一つであったはずです。

しかし、実際には業界・業種によっては、かなりの数の健康保険組合が後期高齢者医療制度による負担金増加のために、この4月から保険料値上げを余儀なくされているのが実態のようです。

これでいいのか?後期高齢者医療制度で低所得ハケン労働者が負担増 (木走日記)

「現役世代の負担を減らす」のは、確かに「目的の一つ」なのでしょうけども、それは、将来の若年世代が「過大な負担」をすることのないよう、という話でしょう。つまり、今現在の負担を減らす、というような話ではなく、今後負担が急激に増加するのを抑える、ということではないでしょうか。制度導入当初は、むしろ負担増となるのは別におかしな話ではなく、制度変更によって料率が変わるなら、当然ある話ではないでしょうか。

これは、「健康保険料率を平成19 年度の 61/1000 から 76/1000 へと大幅に引き上げること」を意味しています。

【略】

組合員数45万人、平均年齢34才のこのハケン健保ですが、その平均年収は280万円という、決して多くはないのが実態です。

これでいいのか?後期高齢者医療制度で低所得ハケン労働者が負担増 (木走日記)

実際には、年収に料率をかけるわけではないのでしょうが。まあ、額的には、だいたいこんなものではないでしょうかね。

改定前)

280万円 × 61/1000 = 170,800 円/年

170,800 ÷ 12 = 14,233 円/月

14,233 ÷ 2 = 7,116 円/月 (労使で折半)

改定後)

280万円 × 76/1000 = 212,800 円/年

212,800 ÷ 12 = 17,733 円/月

17,733 ÷ 2 = 8,867 円/月 (労使で折半)

政府管掌健康保険よりは、まだ安そうですね。国民健康保険に対しては、言うに及ばすでありましょう。

元記事の人材派遣健康保険組合の資料にあるとおり、国民健康保険へ負担が集中するのを避けるのが、制度の趣旨であるわけですから、組合健保の保険料負担が増えるのは、制度の趣旨どおりなのではないでしょうかね。

1 制度改革の背景とねらい

(1) 高齢者の医療費は若人の5 倍も高く、高齢化の進行により国民医療費は増加の一途をたどっていますが、高齢者は国民健康保険(国保)に集中するため、特に国保の財政維持が難しくなっています。

(2) 増え続ける高齢者の医療費について、被用者保険(健保組合、政管健保、共済組合)と国保との負担の均衡を図るのが制度改革のねらいで、その結果、健保組合の負担が急増することになります。

(3) 同時に、75 歳以上の後期高齢者からの新たな保険料の徴収や、74 歳未満の前期高齢者の患者負担の増加で、高齢者と若人の負担の公平を図ることにしています。

厚生労働省の資料では、以下のように説明されていますね。おそらく、制度発足当初は負担増となることは、説明されていたのではないかと思いますが。

(1) 後期高齢者医療制度における後期高齢者の保険料の負担率と若人が負担する後期高齢者支援金(若人の保険料が財源)の負担率は、制度発足時は後期高齢者は1割、若人は約4割である。

(2) しかし、今後、後期高齢者人口は増加すると見込まれる一方、若人人口は減少すると見込まれるため、後期高齢者の負担分は支え手が増えるが、若人の負担分は支え手が減っていく。したがって、仮に後期高齢者の保険料の負担率と後期高齢者支援金の負担率を変えないこととすると、後期高齢者一人当たりの負担の増加割合と比較して、若人一人当たりの負担はより大きな割合で増加していくこととなる。

(3) このため、「若人人口の減少」による若人一人当たりの負担の増加については、後期高齢者と若人とで半分ずつ負担するよう、後期高齢者の保険料の負担割合について、若人減少率の1/2の割合で引き上げ、後期高齢者支援金の負担率は引き下げることとする。

「後期高齢者負担率の改定方法について」 『後期高齢者医療制度の概要』 p.11 第1 回社会保障審議会 後期高齢者医療の在り方に関する特別部会 平成1 8 年1 0 月5 日

組合健保の負担を加入者割りで一律にしたのと、国民健康保険、被用者保険、老人保健制度の関係を整理して、広域連合化したという点は、健康保険組合の効率化を図るという観点から、評価して良いのでは、と思います。75歳以上に限定している点は、疑問は残りますけどね(ただ、今回の制度から、というわけでもないのでしょうけど)。

高リスクの被保険者である後期高齢者は、どの保険組合でも「お荷物」になっていて、この点、各保険者の間で政治的に合意しやすかったのかもしれません。個人的には、後期高齢者に限定せず、若年者も含めて、健康保険組合の整理統合、広域化を図っていくのが良いのでは、と思うのですけども。それが、「国民医療の効率化」の本筋ではないですかね。診療報酬引き下げなどより、よほど合理的な手段ではなかろうかと。

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