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2008年6月15日 (日)

「かぐや(SELENE)」 on Celestia - Part3

「かぐや」軌道データについてまとめます。

データ形式

「かぐや」軌道データの形式については、JAXAより以下のように情報が提供されています。

CCSDS勧告文書 ”CCSDS 502.0-B-1 RECOMMENDATION FOR SPACE DATA SYSTEM STANDARDS”1 をみますと、以下のようにあります。

3.2 OPM CONTENT

The OPM shall be represented as a combination of the following:

a) a header; b) metadata (data about data); c) optional comments (explanatory information); and d) data.

CCSDS 502.0-B-1 Page 3-1

OPM というのは、 ”ORBIT PARAMETER MESSAGE” の略です。ヘッダ、メタデータ、コメント、そしてデータ行から成るものであるようです。

Keyword Description Units Obligatory
EPOCH Epoch of state vector & optional Keplerian elements n/a Yes
X Position vector X-component KM Yes
Y Position vector Y-component KM Yes
Z Position vector Z-component KM Yes
X_DOT Velocity vector X-component KM/S Yes
Y_DOT Velocity vector Y-component KM/S Yes
Z_DOT Velocity vector Z-component KM/S Yes

データ行は、時点、位置ベクトル [x, y, z]、 速度ベクトル [x', y', z'] から成るものであるようです。

「かぐや」軌道データ

「かぐや」軌道データの内容について調べます。メタデータの部分をみると、データ行の意味がわかるようになってるようです。

まず時刻(EPOCH)ですが、[かぐや」軌道データでは、以下のようになっています。

TIME_SYSTEM = UTC

UTC というのは、 ”Coordinated Universal Time” の略であるようです。

It is tied to TAI by an offset of integer seconds (called seconds (called 'leap seconds'), which is regularly updated to keep UTC in close agreement with UT1 (within 0.9s).

”CCSDS 500.0-G-2 NAVIGATION DATADEFINITIONS AND CONVENTIONS” Page 4-102

いわゆる、世界時(Universal Time) であると考えて良さそうです。

座標系について、「かぐや」軌道データでは、以下のようになっています。

CENTER_NAME = EARTH
REF_FRAME = EME2000

EME2000 というのは、 ”Earth Mean Equator and Equinox of J2000” の略であるようです(CCSDS 502.0-B-1 Page 3-3)。この座標系がどんなものか、説明した資料を色々と探したのですが、適当なものがみつかりません。 Google で検索するとメモ的なものは出てきます。

The Earth Mean Equator and Equinox of Epoch J2000 inertial reference system is a right-handed Cartesian set of three orthogonal axes chosen as follows:

  • +ZEME2000 is normal to the Earth mean equator at epoch J2000
  • +XEME2000 is parallel to the vernal equinox of the Earth mean orbit at J2000
  • +YEME2000 completes the right-handed system.

The epoch J2000 is the Julian Ephemeris Date (JED) 2451545.0.

JPL Interoffice Memorandum 15 July 1999 312.B/015-993

ユリウス暦2000年時点で、

  • z方向は赤道面からの北極への垂線
  • x方向は赤道面から春分点への平行線
  • y方向は右手系による

ということのようですね。

原点はどこになるか

さて、以上でだいたいのところは調べたのですが、最後に「かぐや」軌道データの原点がどこにあるのか、確認してみたいと思います。おそらく、地球の中心であると思うのですが、資料上でははっきりしませんでしたので。

「かぐや」軌道データの一番最初の時点での、位置ベクトルの長さを計算してみます。

>ruby vectsize.rb 3.381801563861468E+03 -4.822172015202145E+03 -3.237785869454149E+03
6721.09976848816

地球の半径が、 6378.142 km ですから、この時点で地上から 300 km ほどのところにいることになります。原点を地球中心にとっても良さそうですね。

なお、 vectsize.rb は以下のとおりです。

include Math

x = ARGV[0].to_f
y = ARGV[1].to_f
z = ARGV[2].to_f

puts sqrt(x**2 + y**2 + z**2)

ついでに、1時間ごとに、位置ベクトル、速度ベクトルそれぞれの長さを計算してグラフにしてみました。

07

月と地球の間の距離は 38万4,400km だそうです。4 地球のまわりを2回周り、段々と遠ざかりつつ、月へと向かう様子がわかります。また、地球に近づくほど速度が上がるのは、万有引力の法則どおりですね。


1. http://public.ccsds.org/publications/archive/502x0b1.pdf

2. http://public.ccsds.org/publications/archive/500x0g2.pdf

3. http://ntrs.nasa.gov/archive/nasa/casi.ntrs.nasa.gov/20010056226_2001089749.pdf

4. 月 (Wikipedia)

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