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2008年7月18日 (金)

信じること、疑うこと

表面だけしかみない観察者にとっては、科学の真理は疑いの余地のないものである。科学上の論理は誤ることはないし、学者がときおり思いちがいをすることがあっても、それは論理の規則を見そこなったためである。

【略】

少しでも反省したものは、仮説の占める領分が、どんなに広いかということに気がついた。数学者は仮説なしではすまされないし、実験科学者はなおさらだということがわかった。そこで、はたしてこれらのすべての構築が極めて堅固なものであるかどうかが疑われ、わずかの微風にあっても打ち倒されてしまうと信ずるようになった。こういうふうに懐疑的になるのは、これもまた表面的な考えである。すべてを疑うか、すべてを信ずるかは、二つとも都合の良い解決法である、どちらでも我々は反省しないですむからである。

ポアンカレ著, 河野伊三郎訳, 『科学と仮説』, 岩波文庫, 1959

統計データの場合、真偽といいますか、妥当性はもっと微妙になるわけですけど。

調査会社出身の私が、WEB上の数字について一言 (Out of Order)

このソースで統計を語るのは (文系大学的IT系の悲哀)

「出典が営利企業だから」というのと、「統計でウソをつく法」の一般論だけで、妥当性を否定してしまうのは、あまりに「表面的」ではないですかね。具体的にデータのどこがおかしいかを指摘できなければ、反証とはならないでしょう。

すくなくとも、以下の主張は、データから語りうる範囲で、妥当なところだと、私は感じましたけどね。

見ていただいたらとおり、 日本IT業界が、日本他業種に比べ労働条件が劇的に悪いという統計は、あまり見つけることが出来ません。 むしろあったら教えてください。

この状況では、 IT業界の人が「僕たちの仕事は泥に塗れている!」などといっていては、他業種でがんばっている人たちに恥ずかしすぎて顔向けできません。

「日本IT業界」は比較的泥ではない事を統計的に検証 (西岡Blog)

平均賃金 (あるいは収入でも資産でも) というのは、確かに「統計でウソをつく法」の類で、必ず出てくる例ではありますけどね。

というようなわけで、平均賃金の数字を見たら、まず、質問することである ― 平均の種類は? その数字に含まれている人は?

ダレル・ハフ著, 高木秀玄訳, 『統計でウソをつく法』, 講談社ブルーバックス, 1968, p.22

まあ、サラリーマンの収入なんてのは、だいたい業種と企業規模で決まってくるわけでして、そんなに大きな変動はないでしょう。経営者なら、大きく変動するでしょうけど。情報サービス産業で、30〜35歳の平均年収が、400万〜500万円程度、というのは、妥当なところではないですかね。情報サービス産業内での賃金状況は以下にあります。

2007年版 情報サービス産業基本統計調査 「概要編」 (社団法人情報サービス産業協会)

おそらく、水準的には、小売業よりは高いが、製造業よりは若干低い、といったところでしょう。

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