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2009年5月24日 (日)

英語 時制の機能

というものの一つに、文の順番とは別に、文意の時系列や因果律を指定する、というものがあるのではないでしょうかね。

木下是雄著『日本語の思考法』 1 のなかのエッセイ 「言語技術教育に取り組む」 で、以下の問題 2 がとりあげられています。

次の文は、事実の記述か、それとも意見か。

私たちは殺人犯人 (murderer) スニドハートが出納係を射つのを目撃した。

解答は、「意見」で、その理由は、「マーダー (murder) というのは殺すつもりで殺すときにかぎって使うことばだが、ピストルの弾丸が出納係に当たったのを見ただけでは故意か暴発かはわからない」とあります。

ところで、私は上の問題中の例文を、最初、以下のように解釈したのでした。

1) 既に何人かを殺したところの、殺人犯人スニドハートが

2) 出納係を射って、新たに犠牲者を増やした

3) のを、私たちは目撃した

つまり、大量殺人の現場に居合わせた人たちの目撃談だととったわけです。

解答をみて、例文は、文の順序と、因果律の順序が異なっている、ということに気付いたわけでして。

つまり、

1) スニドハートが出納係を射ち、

2) 殺人犯人となった

3) のを、私たちは目撃した

わけですね。

日本語の場合、基本的には、文の順序と、文意の時系列順、もしくは因果律は、一致させるのが基本なのではないでしょうか。文の順序と因果律の順序が逆転していますと、上の例文のように、異なる意味で解釈される余地が生まれてくるのではないかと思います。因果律を逆転させるなら、それとわかるように、接続詞などを用いて、表現を工夫しないといけないでしょう。

英語の場合、 12 種類もの時制が存在し、これは厳格に使われるきまりとなっていますので、文の順序を時系列・因果律どおりにする必要は必ずしもないわけですね。文の時制をみれば、その文意をどの順番でとれば良いかがわかりますから。

Now let's get started. We can iteract with Erlang using an interactive tool called the shell. Once we've started the shell, we can type expressions, and the shell will display values.

Joe Armstrong, "Programming Erlang" 3

上の例文は、以前読んだときに、時制がわかりやすい形で使われているので、記憶に残っていたものです。

Erlang シェルの起動は完了していて、 今現在は、 Erlang シェルに式を打ち込める状態にあり、 その後は、Erlang シェルに式を打ちこむと、式の値が表示されるわけですね。


1. 日本語の思考法, 木下是雄著 -- 中央公論新社, 2009.4 -- (中公文庫 ; き-35-1)

2. 理科系の作文技術, 木下是雄著 -- 中央公論社, 2002.6 -- (中公新書 ; 624) でも同じ問題文がとりあげられている。 もともとは、 米国の「国語」の教科書のもの。

3. Programming Erlang : software for a concurrent world, Joe Armstrong -- Pragmatic Bookshelf, 2007

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