日本の IT 産業はオープンになれなかった
かなり以前のことだが、日本のあるITコンサルティング会社の経営トップにこう聞かれた。私が答えに窮していると、その経営トップはズバリ言った。「ユーザー企業のレベルが低いからです」
ユーザ企業のせいにするのは、八つ当たりというものだと思うわけですけど。
オープンシステムで、米国企業が圧倒的な優位に立ち、一方、日本企業がそうなれなかった理由というのは、一言でいえば、文化の違いじゃないですかね。
例えば、こんな話はどうでしょう。
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日本の大手ハードウエア・メーカーから、 PC サーバ機を購入すると、”簡単セットアップ CD” みたいなやつと、日本語で懇切丁寧に書かれたマニュアルが付いてきます。
米国メーカーから購入すると、英語・中国語・日本語兼用の、ペラ一枚の ”Quick Start Guide" だけが付いてきます。
日本メーカーの PC サーバ機のカタログは、写真つき・色つきの豪華なもので、見た目が華やかです。今ですと、「仮想化対応」を高らかに謳っていたりします。が、サーバ筐体の中に、どのデバイス・メーカーのどの製品が使われているか、といった情報はどこにもありません。
米国メーカーのカタログは、白黒で非常にそっけなく、まんまスペック・シートであったりします。そのため、見た目は地味ですが、サーバ筐体の中に、どんなデバイス・メーカーのどの製品、どのチップ・セットが使われているか、事細かに書かれていたりします。
日本メーカーの PC サーバ機には、もちろん、有名海外メーカーのデバイス/チップセットが使われています。 しかし、デバイスのベンダー ID 、デバイス ID を、自社工場で書き換えていたりします。
米国メーカーの PC サーバ機は、供給元のデバイス・メーカーのベンダー ID 、デバイス ID 、そのままになっています。
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こうしたことに気付いたのは、大手日本メーカー製の PC サーバに、自分で Linux OS をインストールしようとしたときでした。 型落ちの PC サーバ機があったので、開発用に使おうとしたのですけどね。で、見事にハマリましたとさ。
思うに、大手日本メーカーは、 PC サーバ機でも、顧客囲いこみで売る戦略なんですよね。メインフレームの売り方で PC サーバを売っているような感じです。
もちろん、これは日本のユーザ企業がそれを求めているからこそ、そうしているのだと思うわけですけど。日本のユーザ企業が、メーカーの「手厚いサポート」を求めているのも確かなわけで。米国メーカーみたいに、売った後は自分でなんとかしてくれ、みたいなのは、あまり好まれないように思います。
とはいえ、オープンシステムの文化というのは、まさに米国メーカーのそれ、 Do it yourself なんですよね。
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